コモディティ化の防止策

 

 どんなに画期的な商品にしてもサービスにしても寿命があり、必ず他社の追従により品質による差別化がむずかしくなる。こうなると低価格競争が始まり、商品・サービスはたちまちコモディティ化してしまう。そうなった場合でも、先発企業は、ある程度利益の蓄積があるので、激しい価格競争になっても、ある程度優位に戦うことができる余地はある。

 企業にはその会社なりの特色があり、絶えざる技術革新によりヒット商品を次々に開発して業界をリードする企業、トータルソリューションのシステムを築き、顧客を囲い込み虜にしてしまう戦略を打ち出している企業、マルチプラットフォームにより、タイプの異なる顧客の特定のニーズに応えられる供給者のマッチングな担う企業などのタイプがある。

 こうしたリーダー型の大企業は、ある程度時間をかけて会社のカラーを築き上げているため、かなり高い参入障壁を持っている。しかし、経営資源の脆弱な中小企業の場合は、経営革新を怠ると、なかなか回復が難しい状況に追い込まれる。もちろん、そうした認識は持ってはいるが、現実には、収益力が低下し始めるまで何等手を打たない企業も多い。

 こうしたコモディティの罠にどうして陥ってしまうかについては諸説あり、どれが正しい見方であるかは判別しがたいが、共通して言えることは、経営革新を怠ることによって企業の活力が低下し始めても、収益力はにわかに落ちないということである。すなわち、ある時期に築いた戦略の枠組みが功を奏し、その効果がしばらく残るためと考えられる。

 しかし、活力が低下すれば、収益力も徐々に落ちていくことになるので、早晩、このままでは回復が不可能という状況に追い込まれる。そうなると、今度は経営革新に取り組み、活力を上げたとしても収益力は急には回復しない。つまり、収益力の低下は活力の低下の後になるが、逆に回復し始めるのは活力が相当上昇してから、というメカニズムになる。

 中小企業は、経営資源は乏しいが、その分身軽であるという特徴を生かして、小回りの効くビジネスモデルを開発できる余地はあるのに、どうしても新商品の開発に力を注いでしまうためコモディティの罠に陥ってしまう。これを避けるためには、提供方法の改善や既存の技術の組み合わせなどによる、「最少の差別化」戦略にもっと目を向けるべきである。