小資本で開業できるビジネスを語るとき、今や必ず登場するのがネットビジネスである。売り手と買い手を繋ぐ「マッチング」というビジネスモデルは、各種のポータルサイト、ECサイト、オークションサイトなど、すべての参加者同士が出会う場を提供するプラットフォーム型のモデルである。しかし、それはネット社会特有のものでは決してない。
不動産仲介、職業紹介、結婚相談所、ブローカーなどは、昔から存在したビジネスで、情報の価値をコンテンツにして戦う戦略である。つまり、ある特定の商品やサービスを誰が必要としているかだけではなく、その商品やサービスを提供できるヒトも同時に把握しておくことが主要活動となるわけであるから、情報のストックが一般企業の在庫に当たる。
しかし、当然こうしたマッチングビジネスにおいても、ネットが活用されるようになると、プラットフォームに集まる情報量は格段ふえ、場合によっては、情報の非対称性が解消さることになり、当事者同士が直接取引をするケースも増えてくるが、だからと言って、すべての取引がネットを通じて直接行われるかというと決してそうではないはずである。
つまり、情報の信ぴょう性をどのようにして確認するか、もし取引相手が詐欺師であった場合、どのようにしてそれを見抜くのか、取引の安全を担保するためにどのような知識が必要かなど、様々な問題が横たわっている。こうした不安があるからこそ、ネット社会の現在においても、伝統的なマッチングビジネスが生き残っていることになるわけである。
すなわち、情報の非対称の問題は解決されたとしても、安全な取引を保証するという大きな役割は以前よりもむしろ増している。不動産や高額の商品を取引する場合は特に、権利関係の移転手続きやクレーム、補償に関する約定など専門的な取り決めには、信用が最後の決め手となるので、地域密着型の情報武装が可能な企業にとって存立基盤となり得る。
こうした特質を前提にして、エリアマーケティングを展開すれば、大企業が得意とする規模の経済性を抑え込むことも可能になる。事実、成功している地場の不動産業者などは、押しなべてこのスタイル多く、信用ときめ細かな情報収集力が戦略コントロールに生かされている。これは、その他のスモールビジネスを展開する場合にも応用できる余地がある。