同業基盤を活用するものの代表格といえば、通信自由化によって生まれた通信リセールという業態があげられる。これは、1985年のNTT民営化により、通信施設を持つ第一種通信事業者から通信回線を借り受け、そこに付加価値を付けてエンドユーザーに小分けするという第二種通信事業者が出現したことによるもので、様々な業態が生まれつつある。
例えば、ワイヤレスブロードバンドの世界においては、公衆無線LAN(公衆Wi-Fi)におけるローミングプロバイダである。公衆無線LANは、通信キャリア系企業だけではなく、異業種も含めて多くの事業者がサービスを提供している。しかし、各事業者それぞれの形でアクセスポイントを設けているため、エリアや場所によって使えないことがある。
ユーザー側から見たこうしたデメリットを解決するため、多数の事業者のサービスを包括的に提供するサービスを提供するのが公衆無線LANのローミングであり、提供業者はローミングプロバイダと呼ばれている。また、公衆無線LANに限らず、自前の通信インフラを所有せず、複数の無線通信事業者から通信インフラを借り受けている事業者もある。
こうしたサービス提供者をMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体事業者)といい、その代表例がワイヤレスゲートである。同社では、直接アクセスポイント設備を設けず、各アクセスポイントを設置している事業者の複数の無線LANサービスを一つの認証で提供するサービスを提供し、ローミングプロバイダとして急成長している。
インフラを借り受けてサービスを提供するのではなく、少数精鋭のベンチャー企業が格安のスマホを製造し販売しているのも、同じ考え方によるものである。そすなわち、一旦投下された生産設備(インフラ)を活用することらより、開発、製造、品質管理、企画といった業務を、夫々のパートを得意とする企業に委託し、格安の製品を生み出している。
これらの業態は、いずれも顧客目線に立った戦略をとっているという特徴があるが、ブランド力が弱いという弱点もある。これを補うため、大手量販店などと提携して販売網を拡大している。こうした試みは、さらにインフラを充実させることになり、新たな業態を誕生させるチャンスを提供することにもなるので、手をこまねいているのはもったいない。