中小企業の経営者の中には、業績が安定している場合でも、株式を上場してさらなる発展を目指すことを好まない人も多い。その理由は様々であるが、自分のカラーを貫きたいという共通性が窺われる。そのため、資金調達力には限界があり、規模の経済性という意味では、大企業に水をあけられており、卓越した経営力が存分に発揮できないこともある。
自業自得を好むためか、過大な設備投資が裏目に出てしまい、資金繰りに行き詰ってしまい経営危機に陥ってしまうケースは相変わらず多いのが現状であるが、そうした場合の設備資産は、その後も有効に活用されることなく、解体・撤去費用などを積み増し、負の遺産として残り続けることになる。ここに何らかのヒントが隠されているような気がする。
例えば、バブル崩壊後、ホテルやテーマパークなどが相次いで破綻したが、こうした設備を活用しようというビジネスが発達している。しかし、ここでのやり方は、破綻した企業の物件を競売により格安に取得し、再利用するというものであった。設備の取得が格安であるため、固定資産の回転率は上げられるが、運営力が伴わなければ、同じ道をたどる。
専門家にいわせると、経営破たんが2回以上続いた後でないと、固定資産の取得額が重くのしかかり、安定した黒字経営に改善することは難しいという。それはともかく、経営を軌道に乗せるには、設備投資だけではなく、運転資金や経営力も重要な要素なので、前任者の経営基盤や自社の運営力、市場性の見極めなどが再生のポイントになるはずである。
こうした中で、登場したのが新しい再生スタイルである。その代表格が星野リゾートであり、その特徴はおよそ次の3つである。一つは、産地の食材や伝統料理、伝統、風俗などを取り入れたイベントの導入である。例えば、青森のねぶたは、8月上旬の3日間だけであるが、当地を訪れた観光客に1年中イベントの雰囲気を提供するといった具合である。
二つ目は、マルチの人材を育成し、業務の繁閑にあわせて効率よく活用することである。そして、最後は、施設などへインフラ投資の裏づけは、単独の施設を担保とするという考えではなく、グループ全体の経営力を総合して評価してもらうというものである。こうすることで、投資家のリスクは大幅に軽減されるため、良質な資金の調達を可能にしている。