ゲーム理論では、出店計画が題材に取り上げられることが多いが、この場合に解として求められるナッシュ均衡は、結局のところ棲み分け戦略を取ることに落ち着くことになる。すなわち、無益な競争を仕掛けることで、お互いが致命傷を負うより、協調戦略を選択すれば、ほどほどの利得が得られるということを示唆しているもので、理にかなっている。
また、リーダー企業にとっては致命傷にはならないまでも、かなりのダメージを受ける虞があり、小競り合いにかまけているうちに、チャレンジャー企業や新規参入者にしてやられるというリスクがあるため、ここは強調戦略を取り、グループ全体のシェアを拡大する方が得策であると判断するのは賢明である。そこにフォロワー型企業の生存領域がある。
棲み分け戦略には、「商品ラインの棲み分け」「営業エリアの棲み分け」「OEM供給」などが考えられる。このうち、「商品ラインの棲み分け」では、家電製品などの場合でいうと、冷蔵庫や洗濯機、テレビなどのいわゆる白物とOA機器やオーデオ関連の商品を、それぞれの得意分野に特化し、お互いにテリトリーを守りながら全市場をカバーする戦略である。
そのほか、自動車産業などでもこうした戦略が採られることは多いが、この形は契約により提携されるものばかりではなく、半ば自然発生的に紳士協定の形で確立されていることもあるが、いずれも不安定で、コアとなるしっかりとした技術力がないと、単に協定を結んだだけでは、変化の激しい市場競争についていくのは難しいことに注意すべきである。
次に、「営業エリアの棲み分け」は、市場を面で捉えた場合のテリトリーの問題である。小売業や卸売業などの場合で考えると、スーパーマーケットやコンビニエンス・ストアの立地戦略はその典型的なものであるが、同系列の場合は、なるべくバッティングしないように市場カバーが割り振られるため、系列内では効果的であるが、多系列からは狙われる。
最後に、「OEM供給」についてであるが、現在では多くの企業が何らかの形で採用しており、その効率性については説明の余地はないかも知れない。しかし、ここで考慮すべきことは、両企業の間に「情報の非対称」があることを認め合うという信頼関係が構築されていなければならないということである。ここを疎かにすると「下請」になってしまう。