同業者の中のキーマンを押さえる

 

すでに多くの企業が実行している戦略にスイッチボード戦略がある。これは、「経営戦略」の中で以前にも触れた覚えがあるが、要は、業界の中で影響力のある企業にアプローチして、自社のポジションを有利なものにつくり変える戦略のことである。それには、自社が集積している企業グループの中で、どのような役割を担えるかが大きなポイントになる。

例えば、多くの企業同士がそれぞれの業務に特化した機能を持ち、これらが有機的に結合することで完成する「映画製作」などでは、企画、脚本、監督、俳優、大道具、小道具をはじめとする、多くの専門分野にまたがるものである。これらの機能を一社で抱え込むのではリスが大きい。しかし、どれも確実に必要な機能であるといったことはあり得る。

こうした場合、他社では担えない特殊な機能に特化したパートを押さえ、全体が目指す高品質の価値をコントロールできるポジションを掴むことは可能である。その場合は、当然どのスイッチがメインスイッチなのかを見極めるとともに、自社がそのポジションに相応しい機能を持っているかかが問われることになるため、「強み」を抑えておく必要がある。

また、スイッチボード戦略を取ることが不向きな場合は、「情報仲介サービス」などのようないわゆるBtoBの同業者間の取引を考えるという手もある。その場合は、マージン率は薄いものになるだろうが、情報の密度が濃いという特徴から、安定した取引が期待できるため、回転率が高く最終的には低リスクの安定した経営体質を目指すことができる。

企業内においても、これといった秀でた能力はないが、何でも気軽に引き受けてくれるため、便利な存在になっている従業員がいるものだ。こうした人は、自分では決してすぐれた能力があるとは思っていないが、組織内では潤滑油的な存在で、そうした働きぶりが上司からも評価され、同期の誰よりも早く係長に昇進したという例も珍しいことではない。

大事なことは、同業者の集積においても、存在感のあるキーマンの機能を補完する役割とはどんなものかを見極めることである。この場合のキーマンとは、一企業に限定されるものではなく、集積の中の数社であることもあり得るであろう。いずれにしても、組織が順調に稼働するためには、さらに小さな組織間を調整するポジションが必ず必要となる。