同業種の集積を活用した集積戦略の原型は、中世以前からあったところを見ると、技術革新を取り入れながら日々進化してきたことが垣間見られる。というよりも、集積すること自体に、そのメリットを求めたものであるといった方が正しいのかもしれない。そうした意味では、現在でも集積することの新たなメリットを求めて進化しているともいえる。
伝統的な共同システムといえば、共同販売や共同仕入、共同物流などがあげられるだろうが、近年は、医療モールといったワンストップ・サービスをコンセプトにした同業種の集積も登場している。さらにはIT技術の進展により、地域的集積にとどまらず、地理的には分散しているものの、ネットワークを構築した共同システムが開発され発展している。
このように、共同することによるメリットに着目し、発展を遂げてきたシステムの代表格が、農業協同組合や漁業協同組合であるが、あまりにも巨大化しすぎて、誰のために何を目指している組織であるかが見えづらいものになっている。その最大の理由は、消費者と生産者の懸隔を埋めるという共通の組織目標がいつしか見失われてしまったことにある。
生産者や製造業者はもちろん、全ての供給業者が安定した経営を維持することができなければ、エンドユーザーである消費者への安定供給は確保できない。しかし、集積の中に身を置くかどうかの判断は、個別の企業の裁量によるものである以上、安定した経営を維持発展させる使命を負っているのは、企業自身であることを強く認識しなければならない。
というのは、同じ集積の中の一員でありながら、個別企業として活力のあるものもあれば、集団の中に埋没してしまい、不平不満が絶えない企業もある。つまり、共同販売や共同仕入、共同物流などのシステムを利用すれば、どんな企業でも経営が安定するというものではなく、自社のポジションに応じた個別戦略が必要であるということを意味している。
例えば、経営者のコミュニケーション能力をフルに活用し、共同システム参加企業の中で、調整役を果たしているうちにグループのトップに推挙され、自社に有利な共同システムに改善することに成功したというものもある。ここでのキーワードは、個別企業間にある「隙間の調整」「自社の得意技の掘り起し」「同業者との取引の拡大」などがあげられる。