同業種の集積を活用

 

産地産業や地場産業と言われる地域密着型の企業は、ある一定の地域に集積していることが多いが、そこには必ずと言っていいくらいメリットもデメリットもある。宮城県は三陸沖漁場に近いため、昔から漁業や水産加工業が数多く集積している。長年の経験から、業種ごとに協同組合等を設立し、合理的なサプライチェーンなどのインフラを築いてきた。

ところがそうしたメリットが当然のごとく享受できるようになると、そのメリットよりも同業他社の存在が疎ましくなり、競合相手として意識し始めるようになり、同業者としての協働姿勢が希薄になってしまう。もともと、協働することが会社設立の第一義的意義ではないが、存続することを前提に考えると、同業者同士は一番お世話になる関係にある。

ある地場産業から依頼を受けて、経営改善計画を策定した際、最後に経営者が言った言葉が今でも頭に残っている。それは、「これまでの数々の提案の中で、一番役立ったと感じたのは、集積の中の同業者の活用方法についてである」という言葉であった。表面的には何の変哲もないものだったが、その中身はおよそ次のようなものであったと記憶している。

水産加工品を製造販売しているその企業は、売上高が最盛期にくらべ1/10程度に落ち込んでしまい、未償却の設備投資と過剰な在庫を抱えて、資金繰りが極めてタイトになっている状況にあった。現在は、販売先の要望に応える形で、多品種を少量生産しながら何とかしのいでいるが、実質は破たん状態にあるため、金融機関からの支援も期待できない。

ただ、長年育ててきた販売ルートは健在であり、顧客のニーズにあった「品質・価格」の製品であれば、ある程度売上げを伸ばすことは可能であると判断された。しかし、資金繰りがタイトなため、これらの要望に沿うことはできないし、また、そうした戦略を取り続けたため、過大な在庫を抱える結果となったこという反省もあり、積極的にはなれない。

 ところが、得意先が求める製品は、産地の同業者が得意とするものも数多いことから、OEMによって、調達することが可能であることが判明し、早速くこの戦略に切り替えたのである。当然、その逆の流れも生まれ、同業者との協働関係がより緊密なものになったという分けである。産地の集積を活用できたことで瀕死の状態から脱することができた。