情報の非対称性があると、どうしても懐疑的になり逆選択をしてしまいがちである。例えば、市場における取引では、高品質なモノや安全なモノが選ばれるはずであるが、取引するプレイヤーの間に「情報の非対称性」があるため、逆の選択をしてしまうことがある。つまり、お買い得品が売れ残り、ハイリスクの商品がよく売れるような現象のことである。
その昔、馬が最速の移動手段であった時に、突然自動車が市場に導入されたというような場合、その車が本当に早いのか、すぐに故障しないかといった疑問を抱き、性能や安全性、費用対効果などを勘案して購買を躊躇したかもしれない。この時、消費者も開発者と同様の情報(車の知識)を持っていれば、その利便性を正しく評価し購買したはずである。
また、保険商品などは、いまだに逆選択の問題が払しょくできない。保険商品は、「補償が大きく、保険料が安い」ことが加入者にとっても保険会社にとっても共通の認識であるが、情報に非対称性があるため、「補償は大きいが、保険料が高い」保険商品を選択する加入者層を対象顧客とすることで成り立っている。まさにリスクプレミアムの逆選択である。
このような情報の非対称性への対処方法として、「シグナリング」というものがある。これは、他のプレイヤーが観察できそうな行動を「シグナル」として使う戦略である。広告やPR活動などがこれにあたるが、他のプレイヤーがこのシグナルを「信頼できる」情報として受け止めてくれるかどうかであり、情報伝達のためのコストが一般的に大きくなる。
もう一つの方法は、プレイヤーが隠している本当の意図を表に出されるために行う{スクリーニング}である。これは、運転免許証や入場券などをチェックしたり、バーゲンセールで顧客の真意を測ることなどである。さらいは、直接質問したり、テストをしたりして、タイプ分けをすることで、隠れている意図が表に表れるようにすることなどのである。
情報の非対称を巡る問題は、「知る権利」と「守る権利」など相対立しているばあいもあるため、完全に逆選択をなくすることは困難である。しかし、逆選択することにより生じるリスクが取り返しのつかない窮地に追い込まれる場合もある。市場情報を見誤った意思決定による設備投資はその典型であり、逆選択防止策も用意しておかなければならない。