ITとビジネスの連携

 

 情報システムをビジネスのゴールへと連動させることは、企業の成功には欠かせない。CEOであれば、誰しも、最高情報責任者(CIO)に対して、適切なITの仕組みを持っているだろうか。どうやってそれを知ることができるのか。どうすればビジネスと技術システムを連携させられるだろうか。これは、今や、企業規模の大小にかかわらない問題である。

 IT調査・アドバイザー企業であるガートナーは、「適切なITを実装する:ビジネスモデルの利用」と呼ばれる報告書で、こうした論点を強調している。そして、ビジネスモデルキャンパスは、経営の細かなところに囚われることなく、ビジネスがどのように機能しているか素早く把握できる強力なツールであると断言して、CEO達に次のこと勧めている。

ITとビジネスプロセスを連動させるために、ビジネスモデルキャンパスを使う。それは、戦略的な問題に深く立ち入りすぎることなく、ビジネスとITについて、戦略的な方針に基づく意思決定に役立つからである。そこでキャンパスを、エンタープライズアーキテクチャ(enterprise architecture)のアプローチと組み合わせると便利だということに気づいた。

エンタープライズアーキテクチャでは、企業を、ビジネスの視点、アプリケーションの視点、技術の視点という3つの視点から説明している。キャンバスは、ビジネスの視点を導くため、ビジネスモデルが必要とするプロセスやワークフローを、ITがどのようにサポートできるかに利用した後、アプリケーションや技術の視点へと連動させていくとよい。

アプリケーションの点からは、ビジネスモデルを利用するアプリケーションについて説明し(リコメンデーションシステム、サプライチェーン管理アプリケーションなど)、ビジネスモデルが扱う情報の要件を記述していく(顧客プロファイル、倉庫など)。また、技術の視点からは、ビジネスモデルを動かしている技術インフラストラクチャについて説明する(サーバーファーム、データストレージシステムなど)。

 著者のウェイㇽとヴィターレは、IT連携を探究する、別の興味深い方法を提案している。ITインフラサービスのカテゴリーとビジネスモデルを見組み合わせたものである。すなわち、アプリケーションインフラ、通信管理、データ管理、IT管理、セキュリティ、ITアーキテクチャ、チャネル管理IT研究開発、ITトレーニングと教育といったITカテゴリーとの連携である。