組織におけるビジネスモデルの実行

 

 ガㇽブレスは、組織内で連携させるべき領域として、戦略、構造、プロセス、報酬、そして人々の5つを指定した。その5つの領域を持つ「重心の中心」として、ビジネスモデルをスターの中央に配置している。つまり、ビジネスモデルを取り囲むこれらの5つの要素を組織の目的にそって、バランスよく稼働させることが必要であるということになる。

 まず、戦略は、ビジネスモデルを動かすものであるから、例えば、新しい市場セグメントで20%を達成したいのなら、新しい顧客セグメント、チャネル、主要活動などにおいて、ビジネスモデルに反映させなければならない。つまり、目指すべきゴールによって、ビジネスモデルをどのように動かすかという、組織戦略が決定されることになるわけである。

 次に、実行組織の構造は、ビジネスモデルの特徴にもとづいて決定される。ビジネスモデルによって、高度に集中するのか、もしくは分散型の組織構造にするのかが決まる。既存のビジネスモデルにおいてビジネスモデルを実行する場合にも、その新しい運営には、統合されるべきか、スピンオフされるべきか、考えなければならない(統合あるいは分散)。

 異なるビジネスモデルでは、異なるプロセスを必要とする。低コストのビジネスモデルの下でのオペレーションは、無駄がなく高度に自動化されたものになる。高付加価値の機器を販売するためには、品質管理プロセスを非常に厳格にする必要がある。つまり、ここでは、どのような情報のながれ、プロセス、ワークフローが必要かが中核の問題となる。

 報酬システムも異なるものが必要である。労働者をやる気にさせるためには、適切なインセンティブが使われなければモチベーションは上がらない。新規顧客を獲得するために直接販売する力が必要であれば、報酬システムは、成果報酬思考のものになるし、顧客満足に依存しているのであれば、顧客への献身度合いを反映させる必要があることになる。

 特定のビジネスモデルでは、特定の考え方を持つ人々が必要である。例えば、市場に製品やサービスを導入するため、企業家のメカニズムが必要になったとすると、このようなモデルでは、従業員に大幅の裁量権を与えるべきであろうし、それは同時に、積極的で信頼がおけ、なおかつ、前例にとらわれない人を活用すべきだということを意味している。