コンピュータ支援システムと紙ベースの共存

 

 コンピュータ支援システムは、3次元調査やプロトタイプといった、全く新しい世界が開かれていく契機となったが、今日では、紙ベースのスケッチとCADは、お互いの強みを活かし、弱みを補いながら共存している。ビジネスモデルの領域においても、コンピュータ支援システムによって、多くのタスクを簡単かつ迅速に行えるようになっている。

 その一方で、どのくらい使われるのかまだはっきりしていない。しかし、少なくとも、CADシステムは、ビジネスモデルをビジュアライズ、保管、操作、追跡、注釈、そしてコミュニケーションするのに役立っている。より複雑な機能としては、レイヤーやビジネスモデルのバージョンを操作したり、動的にビジネスモデルの要素を移動すること、また、その影響をリアルタイムで評価するといった機能が考えられる。

 この洗練されたコンピュータ支援システムによって、ビジネスモデルの評価が促進されていく。また、ビジネスモデルのパターンと既製の構築ブロックの小さなデータベースを構築することができる。ビジネスモデルの分散型の開発、管理が可能になるため、他のシステム(例えば、ERPやビジネスプロセス管理)との統合も行えるようになるだろう。

 コンピュータ支援ビジネスモデルのデザインシステムは、おそらく、インターフェイスが改良されていくとともに進化していくはずである。壁サイズのタッチスクリーンでビジネスモデルを操作できるようになれば、直観的な紙ベースのアプローチに近くなり、ユーザービリティも向上するだろう。しかし、紙ベースが不必要になるという意味ではない。

 コンピュータ支援システムは、ビジネスモデルの作成、保管、操作、追跡の容易さ、遠隔でのコラボレーションが可能、簡単にファイナンスなどのシミュレーショができる、ビジネスモデルデザインのアドバイスができるほか、遠隔地のチームとビジネスモデルデザインを共同で行うこと、ビジネスモデルの複雑な操作、深い一貫した分析、などにも広く応用することができる。

 一方の紙ベースは、キャンバスが簡単に作成でき、どこでも使える。キャンバスは、特別なアプリケーションを習わなくてもだれでも使える。非常に直観的で、グループで参加しやすい。大きな紙面を使うと、創造性を引き出し、アイディア創造のプロセスを刺激する、などの利点がある。そして、ビジネスモデルを描いたり、整理したり、説明するためにナプキンにもスケッチできる。ビジネスモデルアイディアを出すためにブレストのチームセッションをする。ビジネスモデルをチームで評価するなど、幅広く応用できる。