第三者出資型モデル

 

 第三者出資型モデルにおいては、製品やサービスを受ける人が支払するわけですない。寄贈者や公共セクター等の第三者によって支払われる。この第三者はミッションを遂行するために組織へ支払うわけであるが、このミッションは社会的なもの、エコロジーに関するもの、公共的なものになる。例えば、政府(納税者)は、教育サービスを提供するために、学校へ資金を投入する。

 これと似たようなものに、イギリスの大きな非営利団体Oxfamへの寄付がある。Oxfamは、貧困や社会問題を根絶するために資金援助する団体である。同じように、第三者が資金を提供するという特徴を持つ広告ビジネスの広告主が投資効果を期待しているのと異なり、この場合、第三者は、この取引によって直接的には経済的な便益を求めてはいない。

 第三者出資型の企業モデルのリスクは、価値を生み出そうとする動機がちぐはぐなものになりやすいということである。資金提供する第三者は主要な「顧客」となり、一方でそのサービスを受ける人は、単なる受け取手となってしまう。組織の存続は寄付によるものなので、受け取手のために価値を生み出していこうという動機よりも、寄贈者の価値の方に注意が向かってしまいがちになる。

 しかし、一概に、第三者出資型の企業モデルが悪く、受容者が金を払うビジネスモデルが素晴らしいという話ではない。従来のビジネスライクな製品、サービス販売が常に機能するとは限らない。教育、医療、公共事業などはその例である。動機がちぐはぐになるという第三者出資型のエンタープライズモデルにまつわる疑問に対して単純な答えはない。

 したがって、どのモデルが理にかなっているかを探究し、最適な解をデザインするしかないわけであるが、このデザインにあたって考慮すべきことは、まず、大きく分けて、直接的な経済的利益の獲得を期待するのか、あるいは、間接的には、収益の増加をめざしているものの、インフラの整備の一環として、貧困などの撲滅に向い力を注ぐのかである。

 前者の場合は、収益の獲得に結び付く仕組みをデザインすることになるため、営利を目的とるビジネスモデルとなんら変わることはないが、後者の場合は、出資する第三者は、あまり直接的かつ短期的な期待を前面に出さないものであることを意識しなければならない。このように、事前に組織の使命を明らかに示すことを前提にデザインすることである。