デザイン(その1)

 

 デザインフェーズの課題は、ビジネスモデルの選択肢を考え、評価し、大胆な新しいアイディアを生み出し、こだわっていくことで、最善のものを選びだすことにある。組織横断的に集まった人々との共創による幅広い思考は、重要な成功要因になる。画期的なアイディアを生み出すためにチームメンバーは、現状を放棄する能力を身につける必要がある。

 探索に重点をおいたデザイン精神もまた重要であり、複数のアイディアを探究する時間を、十分にもうける必要がある。なぜならば、異なる方法を探すプロセスこそが、最善の選択肢にたどり着く、最も可能性の高い方法だからである。あまり早い段階で、あるアイディアに惚れ込んでしまうと、他のアイディアを選択する目がくもってしまう虞がある。

 複数のビジネスモデルのオプションを考えるには、それなりに時間がかかる。例えば、別のパートナーシップモデルを採用すれば、別の収益の流れを模索し、複数の流通チャネルを探っていくことになる。新たな可能性をテストするためにも、異なるビジネスモデルのパターン(バンドル、アンバンドリングビジネスモデルなど)を試してみることである。

 外部の専門家や将来のクライアントへビジネスモデルをテストするには、それぞれの立場でのストーリーを作り、フィードバック求める。しかし、これは、一人ひとりのコメントに応じてモデルを変更しなければならないということではない。批判的なフィードバックも聞くことにはなるけれど、それは潜在的な障害をあらかじめ示してくれるものである。

 1990年代後半に、バングラデシュの貧しい農村の住民に携帯電話を導入しようとしたイクバル・クアディールの探究は、さらなる探求によって、モデルを洗練させた好例である。業界の専門家のほとんどは、貧しい村人に携帯電話に支払うお金はないといって、彼の考えを否定した。しかし、マイクロファイナンスを行うグラミン銀行との提携で実現した。

 この提携がジネスモデルの基礎となり、専門家の意見に反して、実際には貧しい村人たちは携帯電話に喜んでお金を払い、グラミフォンはバングラデシュ最大手の電話会社になった。このように、デザインフェーズにおいては、大胆なアイディアと批判的なフィードバックが錯綜するが、こうしたプロセスを経ることで、より強固なモデルにたどりつく。