未来のシナリオと新しいビジネスモデル

 ビジネスモデルのイノベーションへの取り組みに、シナリオを組み合わせる目的は、組織が将来にむけた準備をするための支援にある。厳然たる事実(その段階では仮説)に裏打ちされた具体的な「未来」に向け、参加者は自分自身を投影させるので、難しい課題について有意義な議論を生み出す。これがシナリオを組み合わせることの大きな目的である。
 参加者がビジネスモデルを記述するとき、そのシナリオの文脈における選択肢に対して、明確なケースを作ることができなければならない。すなわち、2つ以上の基準に基づき描かれた、一連のシナリオを作成することで、新たなビジネスモデルを開発するヒントを鮮明に浮かび上がらせる。つまり、ビジネスモデルを記述するときのガイドラインでもある。
 シナリオは、ビジネスモデルのワークショップが始まる前に作っておくべきであり、その「脚本」をどれくらい洗練されたものにさせるかは、予算によっても異なったものになるとしても、一度、シナリオを開発すれば、他の目的にも使用可能であるはずなので、例え単純なシナリオであっても、将来への想像力とプロジェクト参加者の活性化には役立つ。
 シナリオは、前述のように、まず2つの基準に基づき4つの象限に分ける。次に、主要な要素を説明する、物語を伴ったそれぞれのシナリオを記述する。理想的には、ワークショップを行う前に、このように2つ以上の基準に基づいて4つのシナリオを開発しておき、それぞれのシナリオには、タイトルと主な要素をまとめた短い物語があれば入りやすい。
 ここからがワークショップの参加者により検討してもらうことになる。ワークショップ参加者は、事前に用意されたシナリオに適したビジネスモデルを開発するわけであるから、あらゆる未来の可能性について、グループの理解を高めることが的であれば、全員が1つのグループとなり、シナリオごとに異なるビジネスモデルを開発することも可能である。
 もし、未来に向けた多様なビジネスモデルをつくることが目的であれば、参加者を異なるグループに分け、様々なシナリオに対して個別のソリューションを、同時並行的に取り組んでいくという判断をしてもよいかもしれない。いずれにしても、4つのシナリオについて、1つ以上のビジネスモデルを開発すれば、組織としての見通しは明るいものになる。