製薬の再発明

 オーダーメード医療と予防に向けた治療へのシフトという2つの要素によって切り分けられた4つの象限のうち、予防医学が主要な収入源となるというベクトルとパーソナライズされた医療は市場の中心的サービスとなるというベクトルを組み合わせた場合を考えてみると、製薬の再発明が新たなビジネスモデルの中核に据えるべきであると考えられる。
 こうし仮説に基づいたシナリオは、この新しい世界において価値提案はどのようなものになるだろうか。新しいビジネスモデルにおいて、顧客セグメントはどのような役割を果たすのだろうか。生物情報学や遺伝子配列解明技術という適切な活動の開発を、社内でやるべきだろうか、パートナーを通じて行うべきだろうか、等々の課題に直面するであろう。
 事実、製薬業界の状況は完全に変わってしまい、薬理ゲノミクスの研究は、予想通りの成果を実現し、現在は産業の中核を担うまでになっている。個々の遺伝子プロファイルに合わせてパーソナライズされた薬は、業界の収益の大部分を占めるに到っている。これにより予防の重要性が増加する傾向にあり、一部は治療に代わろうとしている現状にある。
 こうした傾向は、診断ツールの改善や、疾病と個人の遺伝子プロファイルの関連が解明されたことによるものである。パーソナライズされた薬の台頭と予防の重要性の高まりという2つの傾向は、遺伝的な医薬品製造のビジネスモデルを完全に変えてしまった。リソースや主要活動に劇的な影響があった。顧客へのアプローチ方法、収益方法も変化した。
 製薬の再発明に焦点を当てたビジネスモデルでは、パーソナライズされた薬と予防治療が産業の中心となったとき、どんな新しいリソースや活動が、競合優位を提供するのか、新しい時代において、どんな価値提案の要素があるだろうか、パーソナライズされた薬が産業の中心となったとき、顧客とその関係はどのような働きをするのかなどが中心になる。
 また、パートナーの選定やコスト構造、収益の流れについても、製薬会社の新しいビジネスモデルの効果を最大化するためのパートナーはだれか、新しい時代において、製薬会社のビジネスモデルのコスト構造は、どのように変化するだろうか、パーソナライズされた予防にフォーカスされた時、収益はどのようにして生み出されるのか、等々にも及ぶ。