革新的なビジネスモデルを考案する必要を感じている企業や業界は数多く存在しているはずである。製薬業界なともその例外ではなく、大手企業による研究の生産性は近年低下してきているといわれ、従来のようにビジネスのコアとなるようにヒット商品を開発し、効果的なマーケティングを展開するというスタイルでは、生き残りが難しくなってきた。
また、主力商品であった薬の多くは、特許の有効期限が迫っており、これらの薬からの収益は、ジェネリック医薬品メーカーに奪われる可能性が高まっている。こうした製品開発パイプラインの空洞化と収益の低下は、薬品メーカーにとって頭痛の種となっている。この変化の激しい状況のなかで、製薬業界は新たなビジネスモデルの開発を迫られている。
ひとつの突破口としては、将来の一連のシナリオの開発とビジネスモデルのブレインストーミングを組み合わせることが有効と考えられる。シナリオは、既成概念の枠を超えた思考を引き出すのに役立つので、まず、製薬業界の未来を描く一連のシナリオを考案する必要があるので、適切なツールと方法論を持ったシナリオプランニングの専門家に委ねる。
そして、ここでは、今後10年間製薬業界の変化に影響を与える2つの基準をとりあげ、4つのシナリオを開発してみると、(1)オーダーメード医療と、(2)予防に向けた治療へのシフトという要素が浮かび上がる。この2つの要素の対極にある要素は何かを考えれば、予防に対しては治療、オーダーメードに対しては、従来型という4つの象限が見えてくる。
前者は、薬理ゲノミックスの進歩、すなわち人のDNA構造に基づいて、患者の根本的な原因を特定する科学技術に基づいている。将来、人の遺伝子的構造に基づいてカスタマイズされた薬を使用し、治療は完全にパーソナライズされていく。後者は、薬理ゲノム学や診断が進歩し、入院治療よりも予防の方が安価なため、治療から予防へのシフトが進む。
この2が実現するかしないかによって、1)これまで通り:治療が主要な収入源として残る。2)個人薬:パーソナライズされた医療が実現する一方、治療は主要な収入源として残る。3)健康な患者:予防医学へのシフトが起こり、技術的には可能であるが、一時的なブームに終わる。4)製薬の発明:パーソナライズされた医療と予防学は、新しい成長分野となる。
コメント