ビジネスモデルデザインを導くシナリオ

  シナリオは、新しいビジネスデザインを導いたり、既存のモデルを刷新したりするときに役立つ有効なツールである。ビジュアルシンキングやプロタイピング、ストリーティングなどと同様に、シナリオは抽象的なものを具体的に表現してくれるツールであるとともに、これらの機能と互いに補完的機能を発揮しながら、最終的なビジネスデザインを導く。
 シナリオの第一の機能は、デザインをある文脈に特化させ、そのディテール(詳細図)を描くことで、ビジネスモデル開発へ情報提供することにある。シナリオを考えるときには、2つの論点からアプローチしてみるとより鮮明に理解できる。一つは、異なる顧客設定によるシナリオであり、もう一つは、未来の競争環境を説明する場合のシナリオである。
 顧客設定のシナリオは、製品やサービスをどのように使い、利用する顧客や、その顧客の関心、欲求、目的は何かと掘り下げていく。つまり、このシナリオは、顧客視点に基づいて作られるものであり、顧客についての知識を、厳密ではっきりとしたイメージへと具体化することで、さらにその先にある顧客視点やインサイトを明らかにする機能がある。
 このように、顧客シナリオは、ビジネスモデルの良きガイドになる。どのシナリオが適切か、どんな関係を築くのがよいのか、どんな問題解決に対して顧客はお金を払ってくれるのか、といった論点を見つけるのに役立つ。一度、異なる顧客セグメントに対するシナリオを作っておけば、ビジネスモデルが彼ら全員に有効かどうかにつて自問自答できる。
 もう一つの未来の競争環境を説明する場合のシナリオは、未来を予測することではなく、未来の可能性について詳細にイメージすることにある。これは、未来の環境に対して適切なビジネスモデルを考えるのに役立つ。この場合、シナリオプランニングの技術をビジネスモデルインベーションに活用することで、ある条件のもと、進化すべき方向を示唆する。
 これにより、モデルに関する理解と、潜在的に必要となる調整についての整理ができ、そして最も重要なことは、シナリオが、未来への準備に役立つことである。具体的なコンテキストが与えられ、創造性に弾みがつけられる。これは、通常の自由なブレインストーミングよりも簡単で生産的であるが、シナリオの深さと実現性によっては費用がかかる。