どんなビジネスモデルでも、コストは小さい方が望ましいことは確かであるが、主要活動とそれに伴って顧客に提供される価値によって、コストの低減が収益に直結するものと提案される付加価値に重点が置かれるものに分けられる。通常は価格感応性の高い製品はコストよりも価値を重視し、低い製品はコストの低減が主要活動を規定することになる。
もっとも、近年は本来価格感応性があまり高くない製品やサービスを提供することを主活動としている業種でも、敢えてコスト主導型に切り替え、もっとも無駄のないコスト構造を作り出し、低価格の価値提案をするビジネスモデルが出現している。サウスウエスト航空やeasyjet、ライアンエアーなどの低価格航空会社がその典型で世界中に広がっている。
一方の価格主導型は、主要活動が高い付加価値の提案にあるため、ビジネスモデルデザインの実現に伴うコストの増加はあまり問題にしない。プレミアムな価値提案と高度なパーソナルサービスを充実させるためのコストは、提供される付加価値として価格に含まれることを顧客が受け入れるからである。高級ホテルや豪華客船の旅などがその例である。
コストは元来、固定費と変動費に分けて考えられることが多い。これは、財務諸表の損益計算書の構造に由来するものかもしれないが、製品やサービスの生産量に関わらず発生するコスト、すなわち、給与や地代、機械装置などの減価償却費などは固定費として、製品やサービスの生産量に伴って変動する原材料費や仕入れ原価などは変動費として扱う。
また、これらのコストとは、やや違った概念であるが、生産量を拡大するにつれて得られるコスト上のアドバンテージもコストを考える場合の大きな要素の一つとなる。つまり、大量購入による仕入れ価格の低減により、生産量が増えれば増えるほど、生産単位当たりの平均コストが低くなる。これがいわゆる規模の経済性で、大企業にとって有利である。
規模の経済性というより、範囲の経済性というべきコストアドバンテージもある。それは、自社の経験やノウハウ、販売チャネルなどを活用して経営を多角化することにより、マーケティング活動や流通チャネルに複数の製品を投入する。この場合のコストは、新たに市場展開をするよりも既存のインフラを活用できるので、コストの増加を抑えられる。
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