顧客セグメント(その2)

 顧客セグメントというと、社会経済的変数、地理的変数、購買行動変数、パーソナリティ変数などで市場を区分する市場細分化が頭に浮かぶ。当然これらの市場に共通するするマス市場に焦点を当てたビジネスモデルもあり得る。この場合は、共通するニーズにフォーカスして価値の提案や流通チャネルを決める。家電業界やCVSなどがこれにあたる。
 マス市場の中では満たされないニーズに焦点を当て、限られたセグメントを対象とするニッチ市場では、価値提案や流通チャネル、顧客との関係なども市場の特定ニーズに合わせて調整される。こうしたセグメントはサプライヤーとバイヤーの関係において多く見られ、車部品メーカーが自動車メーカーの特殊なニーズに対応する関係などがその例である。
 顧客が抱えている課題の微妙な違いに、きめ細かく対応して細分化する場合もある。例えば、クレディ・スイス銀行のように、10万ドル未満の中流層と、50万ドル超の富裕層とに区分し、価値提案や流通チャネル、顧客との関係、収益の流れを別建てにしている。その他にも、製造メーカーが各産業分野に対して異なった価値を提案している例などがある。
 多角化の形も従来のものとはかなり違ってきている。例えば、Amazon.comは、クラウドコンピューティングサービスを提供することで多角化した。そのため、これまでのウェブ会社とは全く異なった顧客セグメントに、全く異なる価値を提供することになり、小売部門が持つ強力なインフラをクラウドコンピューティングサービスに転用が可能になった。
 複数の独立した顧客セグメントをもつマルチサイドプラットフォームというモデルもある。このケースの例は、クレジット会社が、クレジットカード保有者とカード利用可能な小売店という2つの顧客基盤を対象にしていることやフリーペーパー事業などにみることができる。大きな読者基盤をもつことで広告主を惹きつけ、制作と流通の費用を捻出する。
 このモデルの特徴は、両方の顧客セグメントを充実させることを狙いとしているところにある。そのほかにも、異なったコンポーネントごとに、異なったマーケティングを適応させることで、トータルとして高い収益を獲得しているというモデルもある。要は誰のどういうニーズを対象にするかが、顧客セグメント構築のポイントであるということである。