顧客セグメント(その1)

 ビジネスモデルのキャンバスとは、ビジネスモデルを記述、分析、デザインするツールを一つのフレームにまとめたものである。すなわち、顧客はだれで、その顧客にどんな価値を提供するのか、その場合にどのようなチャネルを通じて提供するのか。そして、顧客との関係をどのように構築し維持していくのかを分析し、デザインして記述することになる。
 次に、こうして記述されたモデルは、確実に顧客に価値を提案し届けられたとしても、企業が存続し続けるのに必要な収益に結び付くかを検証しなければならない。そのために、どのようなリソース(経営資源)や主要な活動とはどんなものか、アウトソースされる場合のパートナー、中核となるコスト構造などの枠組みを9つのブロックに分けている。
 まず初めに考えなければならないのが顧客セグメントである。顧客セグメントのブロックでは、企業がターゲットとする顧客グループについて定義することから始められる。このことについては、これまでのマーケティングでも定番になっていることで、特に新しい考え方ではないが、共通のニーズというものの捉え方に一歩踏み込んでいるのが新しい。
 例えば、顧客をセグメントしそのニーズを深く理解する上で、「ニーズを満たすためには異なる提案が必要となる場合」「リーチするのに異なった流通チャネルが必要となる場合」「異なる形の関係構築が求められる場合」「収益性が大きく異なる場合」「異なる部分に、お金を支払う意思がある場合」などを上げ、具体例を示しているところが革新的である。
 顧客セグメントを分ける考え方は、単に分けることに意義があるわけではないから、誰のどんなニーズ(価値)を創造するのかが問題である。つまり、もっとも重要な顧客はだれなのかを、市場(マス市場)、ニッチ市場、市場細分化、多角化といった従来のセグメントに加え、マルチサイドプラットフォームという切り口で分析して、顧客を定義している。
 顧客セグメントは、セグメントした顧客を満足させるための共通ニーズ、行動、態度によって顧客をグループ化することであるから、どの顧客を重視しどの顧客を無視するかを決定することでもある。これは、事業領域を設定し境界を明らかにすることに他ならない。誰にどんな満足を提供し、高い収益を獲得するかというモデルを強く意識したものである。