ビジネスモデルのイノベーション

 経営革新が必要であることはどんな企業でも認識していることである。しかし、現実にはなかなか踏み切れないか、あるいはどのように革新をデザインするかが解らないまま、旧来のモデルを引きずっているというのが実態である。新製品の開発や業務革新というイノベーションは、競争上は避けられないが、それだけでは利益を生まなくなってきている。
 ITが進展すると同時に、ビジネスモデル特許がブームになったがあまり根づかなかったが、今新しい流れが本来の意味でのビジネスモデルの見直しという形で重要視されるようになってきた。バリュー・インベーションや戦略キャンパスという概念を打ち出したブルーオーシャン戦略などは、その典型的な取り組みであり、企業にとっては参考になる。
 しかし、シンプルな物販モデル、小売りモデル、広告モデル、ラインを追加した合計モデル、ブランド力などを活用した二次利用モデル、機械や装置などを販売することで、消耗品を販売するモデル、継続モデル、紹介業などのマッチングモデルといった基本的で、かつ伝統的なビジネスモデルは今も健在であるし、今後もこの原型は引き継がるであろう。
 問題は、このモデルをそのまま活用し、製品開発だけで対応できるわけではない。すなわち、消費者ないし生活者のニーズは日々進化している中、本当に求めているソリューションに応えきれないという問題が顕在化してきているからである。ここに切り込んだのがビジネスモデル戦略論や組織論、マーケティング、財務など多岐に亘るアプローチである。
 どの理論も論理的で、非の打ちどころがないが、現実に企業がビジネスモデルをデザインしようとすると、なかなか取りつきにくいという実感を持っていることも事実である。例えば、具体的で解りやすいブルーオーシャン戦略でも、組織の壁がネックになり、なかなか革新的な考え方がトップから受け入れられずたな晒しになってしまうことが多い。
 こうした状況の中で登場したのが、アレックス・オスターワルダー&イヴ・ビニュール著の「ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書」である。この本は何よりもビジュアルで解りやすいのが最大の特徴である。この本は、これまでのビジネスモデル戦略論を総論とすれば、目からウロコが落ちる各論と位置づけられるように感じている。