支援者の目利き

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 経営革新計画を策定する前提として、まず、革新の芽が企業内で育っていることが原則である。それは卓越した技術力であることもあるであろうし、長年に亘るマーケティング活動により形成された顧客との強い結びつきであることもある。要は、これらの芽(優位性)をどのように活用すれば、付加価値を高められるかを記述するのが革新計画である。
 もっとも、灯台下暗しということもあるので、マーケティング専門家のアドバスにより、革新の芽に育つこともあるかもしれない。そうした意味での革新支援は意味のあることであるが、初めに達成すべき数値目標を設定し、後からストーリーを付け足すといった計画では、形式要件は整っているものの、本来の意味での経営革新計画とは程遠いものとなる。
 企業が経営革新を志向する動機は様々であるが、経営の現状を多面的に分析し、革新計画として整理していくというプロセスを辿るものと思われる。つまり、経営革新自体が目的であるわけではなく、顧客のトータルコストの低減に貢献することも大きな意味がある。革新と合理化は対局にあるように思われがちだが、顧客にとっての価値の問題である。
 例えば、景気の低迷などにより売上高が減少し始めると、対応策としてリストラを検討することが多いが、その前に、交際費や交通費、広告宣伝費といった固定費を圧縮することに舵を切ったりする。場合によっては、これまで外注していた部品などを内製化することでコストの引き下げを目指すが、こうした方法が常にベストな選択であるとは限らない。
 これまで、かかわった企業の中では、外注が受注力の下支えとなっていることが多かった。これらの企業では、自社の設備を有効に活用し、従業員の生産性も高めようと考えているわけであるが、いざ実行してみると、受注が予想以上に減少してしまい、結局はリストラに踏み切らざるを得なくなってしまった。つまり、王より飛車を可愛がったことなる。
 広告宣伝費などにしても、中長期のトレンドでグローバルに分析してみないと、売上高や利益にどのような影響を及ぼしているかが見えてこない場合もある。経営革新は新しいことに挑戦することに意義あるのではなく、顧客満足度を高めるためにおこなうものであるから、支援者は、成長の芽を探すだけではなく、組織開発にも目を向けるべきである。