ビジネス成功のヒント

 成功している企業と衰退している企業の要因を解明するのは容易なことではない。一般的に言われているIT化の遅れなども、大きな要素ではあるが、全てにあてはまるわけではなく、場合によっては運不運で説明するのが一番わかりやすいこともある。例えば、今回の東日本大震災などによる仮需により、傾きかけた経営を立て直した企業もあるからだ。
 しかし、言い方によっては、諦めずに会社を存続させてきたからこそ、こうした機会が巡ってきたと考えている経営者も存在するので、こういう会社にとっては運も実力のうちということになるのかも知れない。企業の価値は、顧客が抱えている問題をどれだけ解決できるかで決まるとすれば、問題解決力を持っていることがビジネス成功の原点である。
 ただ、冷静に考えれば解るとおり、常に運命に任せておけば道が開けるわけではなく、顧客の問題解決に取り組んでいることが全てに繋がっている。幼い子供でも、こうした思考様式にそって行動しているところを見ると、これを理屈で説明することはほとんど意味がないように思われる。だとすれば、どれだけ、そのことに心を砕いたかの問題である。
 衰退の一途をたどっている企業の大きな特徴の一つは、顧客の問題解決に心を砕いていないというのが私の印象である。もちろん、何もしないで手をこまねいているというつもりはないが、顧客の問題解決よりも、「何が儲かるか」「儲かっている企業はどうやっているのか」という表層部分にしか目が向いていないため、何時までたっても悩みは尽きない。
 それから、もう一つの特徴は、同業他社も低迷していると変に安心するという変な癖を持っていることである。すなわち、「みんなも同じような状況にあるので、じたばたしてもしょうがない。そのうち市況が回復すれば、当社も息を吹き返すだろう。」という横並び意識があることである。要するに顧客の優先順位の変化には全く目が向いていないのである。
 ビジネス成功のヒントは、同一市場における戦略グループの動向をリサーチするのが手っ取り早いが、先発企業は強力な戦略コントロール機能をもっているのが当然なので、その場合は、むしろ顧客がその戦略をなぜ支持しているのかを探ってみるべきである。そこから逆に遡って自社のビジネスモデルを点検してみなければ、ヒントを見つけられない。