身近にあるストレス・ソリュウション

 ビジネスモデルや収益モデルを考える場合、一番取りつきやすいのが一般消費者や企業が抱えているストレスである。すべての商品やサービスがストレス解消のために存在しているとまでは言えないかもしれないが、ニーズとは元来必要としていることと捉えれば、その背後には、何らかの問題解決を求める意思が存在していると考えるのが自然である。
 例えば、おなかがすいたので美味しいものを食べたい、仕事に疲れたので気分転換をしたい、暗くなったので部屋を明るくしたい等々。こうした日常的なストレスを解消しようとするところにビジネスの種が潜んでいると考えれば、どんな人にも製品開発のネタを探せる資格がある。現にこうした発想から生まれたヒット商品は数えきれないほど存在する。
 ただし、ストレスを解消するためのヒット商品を開発するここと、ビジネスモデルを開発することとは同じではない。もちろん、従来にはない画期的な製品を開発できれば、ビジネスとしても成功する可能性は高いであろうが、ビジネスをデザインするというのは、売れる仕組みを作ることであるから、良いものだから売れるという発想では不十分過ぎる。
 特許は取得したもの、そのまま塩漬けされたままの商品やアイディアが数多いことを考えれば、顧客との懸隔を埋めるマーケティングが、ビジネスにおいて重要であるかを窺い知ることができる。それにもかかわらず、老舗と呼ばれている企業でも、「よいもの、美味しいもの」だから必ず売れるに違いないと考え、旧来の業態モデルを変えようとはしない。
 こうしたビジネスのやり方に矛盾を感じ始めている企業も多いため、これを解消しようとした試みが、ビジネスモデルの革新であるとすれば、これ自体がストレス・ソリュウション・モデルである。われわれがビジネスを考えるとき、どんな商品を作るかを発想の原点にしがちであるが、まず、「誰に対して」というターゲットを設定することが先決である。
 売り手市場を前提としていた時代は、何を売るかがビジネスの中核に据えられていたが、顧客が何を求めているかを知ることがビジネスの基本になっている現在、顧客を知ることを後回しにすることは適切ではない。成長を続けている企業は、自社の顧客が抱えている課題に焦点を絞り込み、これに応えることで収益力のあるビジネスモデルを構築している。