KFSの設定のヒント

 事業を成功に導くためには、差別的な製品やサービスを誰にどのようなタイミングで提供するかという戦略を組み込んだビジネスモデルを構築しなければならない。スポーツ選手へのインタビューでよく耳にする「勝利に導いた最大の要因はなんですか」という問いかけがある。すると、「諦めなかったこと」「平常心で臨んだこと」などの答え返ってくる。
 この場合は、成功の要因はいくつかあるが、敢えてそのうちの一つを上げるとすれば、という前提でストーリーが組み立てられている。繁盛している街の魚屋さんやタイ焼屋さんの場合、少し違ったニアンスの答えになるかもしれないが、共通した要素もあるはずだ。ビジネスのKFSは、この共通した要因の上に上乗せされた独自の要因のことである。
 例えば、電力会社の場合は、電力の安定供給がKFSとなるであろうし、デパートの場合は、品揃えと品質である。魚屋さんも新鮮な魚を提供するための鮮度管理や立地の利便性などが思い浮かぶが、こうしたKFSは、あっという間に普及してしまい、戦略的コントロールが色あせてしまう。従って、KFSは差別的であり続けられることが条件となる。
 すなわち、KFSは差別的であるということと、戦略として持続性があり、収益をコントロールできるものであることが絶対条件である。この場合、何と比べて差別的かということを明確にしなければならない。それは当然、同一の市場でマーケティングを展開している競合他社や新規参入業者との差別化であり、顧客のロイヤリティ保持が前提である。
 満たされていないニーズや潜在的ニーズにこたえるために、既存のモノとは一味異なった製品やサービスを開発すれば、新しい市場セグメントが確立できるかもしれない。その場合、他の追従を許さないものであれば、差別化というよりオンリーワンになるため、差別化と呼ぶのは相応しくないかもしれないが、他社の参入がないというのは考えにくい。
 競争を意識しているからこそ、差別が必要であるわけであるから、これを維持するための参入障壁を築き、これをコントロールできることがKFS構築のポイントである。成功を収めている企業のKFSを見ると、顧客のニーズをストレス・ソリュウションに求め、自社の経営資源を組み合わせ、独自のシステムを構築しているものが多いように思われる。