収益モデル構築のための体制づくり

 需要が供給力を上回っていた時代には、顧客が望むものをより安く提供することがビジネスモデルを構築することの主な目標であった。製品やサービスを提供する企業としては、これらの品質や価格をメインに据えて活動するのは、時代を問わず必要なことであるが、その製品やサービスの価値を判断する主導権が顧客に移ってしまった点が昔とは異なる。
 すなわち、「作ったモノを売る」という流れから、「求められるモノを創って売る」という流れに変わったことを意識しなければならなくなった。しかし、一度築いたビジネスモデルが評価され、自社の収益にも貢献できているとなると、そのモデルが陳腐化し始めても、その兆候を素早く察知し、顧客の購買行動や優先順位が変化していることを認めない。
 毎年発表される企業ランキングなどを見ても、売上高、規模、収益性、安全性などの評価がめまぐるしく入れ替わり、市場の変化への対応が遅れたことと無関係ではないことが窺われる。近年は、長年親しんできた企業名まで変わってしまうところを見ると、いかに戦略的な意思決定が重要であるか、そしてその組織体制を柔軟に保てるかが問われている。
 組織は人の集団であるから、いわゆる優秀な人材が数多く存在していれば、それだけ、迅速で的確な判断を下せる可能性が高いはずなのに、お互いの主張を尊重しようとすればするほど、企業がもともと持っている革新機能が発揮されず、顧客から三行半を突きつけられてしまう場面が多いところを見ると、戦略転換の意思決定が如何に難しいかが解る。
 メキシコの生コンクリート会社セメックスが開発したビジネスモデルや段ボール会社の受注システムなども、アイディアとしてみれば、中小企業が絶えず抱えている問題を素直に改善したものとも受け止められるので、どの企業でも採用できそうな戦略である。しかし、実際には、そうしたアイディアを持ちながらもなかなか踏み切れないのが現実である。
 こうした事実を見るにつけ、収益モデルを構築し、戦略的コントロールを保つことも難しいかもしれないが、本当のところは、アイディア以上に困難なのは、顧客の変化を読み取る姿勢が備わっているかどうかの方である。とかく、日本企業の場合は、内向きの議論が多く、顧客がどう評価するかよりも、上司がどう判断するかを問題にする傾向が強い。