ドラッカーによれば、企業活動における利益は目的ではなく条件であるとしている。これはたぶん、獲得した利益を適正に再配分することで、最終目的として掲げたビジョンを達成することを意味しているものと思われるが、いつしか知らずしらず、利益の獲得が目的化してしまっていることに対する警鐘という意味が込められているようにも感じられる。
ビジネスモデルという言葉が使われだしたのは、ITを活用した新しいビジネスのやり方が特許取得の対象として注目されるようになった頃である。しかし、本来の意味は、需要と供給を結びつけるビジネスのやり方のことで、伝統的なビジネスの仕組みもビジネス
モデルであるわけで、特に新しいものだけをビジネスモデルと呼んでいるわけではない。
ただし、IT化の進展により、旧来型のビジネスモデルは陳腐化してしまい、伝統的な手法だけでは顧客ニーズに応えることができなくなり、経営革新への圧力が高まってきた時期に登場したのがビジネスモデルという概念として定着している。いずれにしても、顧客が主体であることには変わりはないわけで、そうした意味では、収益モデルでもある。
ところが、ビジネスモデル=収益モデルかといえばそうではない。すなわち、どんなビジネスモデルをデザインして採用しているかによって、企業が目指す利益を獲得できるかどうかが決まることになるから、企業が提供する価値の中に総コストと利益が含まれたものを顧客が付加価値と認めてくれなければ、収益モデルとは言えないということになる。
収益モデルをデザインする場合、提供する企業の望みどおりに顧客が付加価値を受け入れてくれるかどうかということと、競合業者の戦略を抑え込み、顧客の選択肢を意識的に制約するという戦略もあるが、戦略的コントロール力を強固なものにするということは、後者の方に重点を置いた考え方で、競合業者や新規参入者の動向を読み込む必要がある。
収益モデルを構築する方法として、カネが流れ込むルートをできるだけ多くつくるというものがある。しかし、この場合でも単なる多角化戦略だけでは、顧客が求めている付加価値を提供できるとは限らないし、競合業者の動きを封じ込めることも難しい。経営資源が脆弱な中小企業の場合は、特にこうした消耗戦を安易に選択するのは無謀きわまりない。
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