中小企業の戦略的コントロール・ポイント(その2)

 戦略的コントロールとして高く評価されているものとして、ブランド、特許、著作権などが一般によく知られている。しかし、いずれも経営資源の脆弱な中小企業には敷居が高く、なかなかこうしたコントロール・ポイントを検討するのは難しいかもしれない。しかし、このような高嶺の花も捉えようによっては、時間差攻撃であるとみることもできる。
 すなわち、ブランドや知的所有権は、確かに戦略的コントロールとしては強力であるが、誰かがまねることを防止しようとしているわけであるから、裏を返せば、法律によって顧客の選択権を制約していることでもある。現に、こうした権利の保護期間が終了すると、途端に、知的所有権を保有していた企業の業績が悪化するというケースも見受けられる。
 その点からいうと、法律の建前に頼ってプロフィト・ゾーンにとどまるより、顧客のニーズを先取りして支持を得ることで利益を勝ち取り、後発企業が追い上げてくるタイミングを見計らって、小さな差別化(最小の差別化)に踏み切るという小まめな戦略で、業界をリードしている企業もあるので、あまり固執して考える必要はないようにも思われる。
 製品の差別化などのような単線的な戦略は、技術革新が進歩し続けている現在、戦略をコントロールし続けるという意味ではあまり機能しなしのは事実であるが、そうは言うものの、戦略的コントロール・ポイントを考える以前に、まず何らかの差別化を考え、これを持続するためにはどうすれば良いのかというプロセスを踏むことになる点に着目したい。
 例えば、ある2つ食品加工メーカーが、売り上げが伸び悩んでいるという状態を、ほとんど同時に知ることができた。財務内容や販売データを詳細に調べてみると、この2の企業は、製造している製品も販売ルートも全く別であったが、販売先の企業は、同等の製品(一方でしか製造していない製品)は、第三の企業から夫々調達していることが判明した。
 そこで、2つの企業が緊密に提携し、夫々が製造している製品をクロスして販売することに踏み切った。その結果、ワンストップの購買が可能になったため、販売先からも歓迎され、お互いの会社の売り上げが1.5倍程度に伸長した。しかし、同業他社が追従してきた形跡はほとんど見受けられない。これも、一種の時間差攻撃になったというべきである。