中小企業においては、戦略的コントロールという概念自体がとらえにくいためか、コントロールがないがしろにされている企業は多い。唯一認識されているのが、差別化であり、特に製品差別化にはかなり神経を使っているが、これだけでは、競合企業や異業種からの参入を簡単に許してしまう。つまり、戦略的コントロールが効かない状態になってしまう。
こうした差別化戦略が非常に不安定であることは認識されているにもかかわらず、多くの企業は製品差別化こそが、顧客に価値を受け入れてもらうための最大の要素だと信じてマーケティングを展開している。これは、「よいもの・美味しいものだから買ってもらえるに違いない」という願いが込められているものであるか、顧客の選択肢の一つに過ぎない。
当節はやりの「B級グルメ」や「ゆるキャラ」なども、これに類するもので、確かに地域間で競争するという意味では、地元の活性化策には違いないが、費用対コストという面はともかく、戦略的コントロールがなされているとは思えない。こうした単発的な戦略では、簡単に他の追従を許してしまうということを考えるのが戦略的コントロールである。
机上の概念と考えると、確かに理解しがたい面もあるが、実際には多くの中小企業でも実践し、効果を上げているところも多い。例えば、高級織物店の老舗が、伝統素材意を生かして現代的なデザインや用途を生かした製品を開発・製造し、地元企業や異業種との協業で取扱商品を拡大し、異業種の店舗の製造・販売のコンサルティングも手掛けている。
こうした仕組みを作ることで構築された参入障壁は、戦略的コントロールが効いているため、競合業者がこれを打ち破ろうとするには、かなりの負荷がかかるため、このシステムを活用することに経済的合理性を見出すことになり、結果的には個々の企業のブランドを誇張するより、自社の利益を獲得するという意味では安定しているため持続性も高い。
戦略的コントロールというのは、企業が利益を確保するという視点からの発想であり、純理論的には、顧客に多様な選択肢の中から自社製品を選択してもらうということとは矛盾するものではないにしても、競合業者の動きをコントロールすることで、プロフィット・ゾーンでの操業を可能にするわけであるから、市場原理にかなうものというべきである。
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