日々のコンサルティングを通じて知り得たことなのだが、一般的にいって、企業規模が小さくなるほど売上高対総利益率が大きくなる傾向があるようである。もちろん、例外はあるが、少なくとも、家族経営やこれに準ずる規模で、着実に利益を上げている事業所についてはそういえる。ここでいう例外とは、累積損がある企業に見られるパターンである。
前者の場合は、規模は小さいが確実な顧客層が存在し、顧客の顔が見える経営が実践されているからである。つまり、顧客の真のニーズと自社が提供する商品やサービスに対する満足度が一定の水準を保っているからであるが、別の見方をすれば、戦略をコントロールできる適正な市場規模をよく認識し、差別的な優位性を保っているからだともいえる。
規模の経済性を活かし、最大多数の共通のニーズをターゲットしている大手スーパーやCVSの場合は、不特定多数の消費者ニーズがどれくらい異なるかということではなく、どれくらい共通しているかに着目しているため、地域の需要をねこそぎターゲットにした戦略は展開していない。そこに中小商店に残されたやや異質なニーズの束が存在している。
中小規模の企業の存立基盤は、他との異なったニーズに着目し、これに自社の強みを対応させているため、事業領域も明確に定義され、強力な移動障壁も同時に構築されていることになる。このテリトリーを守り抜くことで、消費者には深い満足を与え続け、自社が獲得する利益も一定レベルに保てるという安定した経営が維持される構造になっている。
ただし、このように適正規模を保ち続けていれば、未来永劫安定した経営が継続されるというものではない。それは、如何に移動障壁が高いからといって、新規参入が不可能であるという保証はないわけであるし、革新機能が萎えてしまっては、折角のフアン(常連顧客)から愛想をつかされるかもしれない。いずれにしても、小さな市場は常に存在する。
規模の経済性が功を奏することが減少しつつあるとはいいながら、経営資源が大きいことは、それ自体有利であることは間違いない。適正規模を設定するに当たって考慮すべきことは、自社の経営資源の質量と顧客が求めるソリューションをどのように捉えて適合させたビジネスモデルを構築するか、どのような仕組みを作り利益を得るかにかかっている。
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