絶えざる革新

 ミッション・バリュー経営がビジネスの基本であるとすれば、革新機能が経営指針の中に組み込まれているはずである。市場環境が変われば、消費者が求めているバリューも変わるからである。企業理念や使命は不変であるとしても、バリューが変われば、技術革新を駆使して新製品を開発しようとするのは当然であり、革新することも企業の使命である。
 ヨゼフ・シュンペーターによると、イノベーションとは、1)新製品の導入(プロダクト・イノベーション)、2)新しい生産方法の導入(プロセス・ノベーション)、3)新しいマーケットの発見、4)新しい原材料の導入、5)新しい組織の導入の5つを要素として挙げている。狭義には、技術革新という意味が強いが、経営革新と定義しても差支えなさそうである。
 フィリップ・コトラーは、イノベーションは、新たなプロセス、新たなチャンネル、新たな事業コンセプトなども含むといっている。これらの要素を総合して考えると、新しいビジネスモデルを開発することは、経営革新そのものであるといっても過言ではないように思われる。ブルー・オーシャン戦略のバリュー・イノベーションもこの考え方である。
 イノベーション機会の捉え方について、ピーター・ドラッカーは、予期せぬことの生起、ギャップの存在、ニーズの存在、産業構造の変化、人口構造の変化、認識の変化、新しい知識の出現など7つ注意点を挙げている。そして、これらのイノベーション機会は、常に進化し続けているので、迅速に行動しなければならないということにも言及している。
 新規創業により新しいビジネスモデルを開発する場合は、経営革新とは呼びにくいが、既存の企業がビジネスモデルを構築することは経営革新そのものである。それは商品やサービスについて言うならば、脱コモディティ化を図ることといってよい。つまり、成熟化した市場における競争(特に価格競争)から抜け出すための戦略であるということになる。
 この場合のイノベーションとは、必ずしも新製品の導入を意味するものではなく、リストラクチャリングやアウトソーシング、BPR(リ・エンジニアリング)、SCM(サプライチエン・マネジメント)などもこの範疇にはいるが、これらは、いずれもコスト削減により、相対的に付加価値を押し上げようとするものであり、価格競争からは抜け出せない。