基本はミッションからのアプローチ

 ビジネスチャンスを捉えるためのアプローチとして、ストレスソリューション・モデルは、我々の生活の中に潜んでいる現象を、「こういうふうにできないか」とか「何故このようにできないのか」などといった素朴な疑問に着目することで、ビジネスの種を探すというアプローチであるが、その根底には価値観とか使命感といったものが必ず存在している。
 哲学者のデカルトは、「われ思う、故に我あり」といっているが、哲学を学んだ人でなくても、この言葉の意味するところは何となく解るような気がする。自分はどういう人間で、どれだけの存在価値があるのは測れないが、自分らしい「こだわり」のようなものはだれでも持っている。ビジネスでもこの「こだわり」を基軸にして種を探しているはずである。
 自分のこだわりや性格といったものがキャリア形成に影響しているとすれば、ビジネスチャンスを探索する場合も、おのずから絞り込むことになるはずである。そのことが、ビジネスの境界を決めたり、「誰に、何を提供する事業なのか」といった事業コンセプトや商品コンセプトを定義するのに役立つ。つまり、ビジネスには自分らしさは欠かせない。
 このように、ミッションを基点にビジネスチャンスを探索することで、社会の中に存在するストレスを捉える場合でも、他人とは違った視点でものごとを観察できるため、生み出される商品やサービスも差別的優位性のあるユニークなものになる。例えば、自分が着目すべき課題は、少子化かそれとも高齢化なのかは、ミッションによって方向が決まる。
 自分のこだわりや価値観といったものをビジネスで考えたとき、それが使命やミッションということになる。したがって、ミッションとは、社会の中で自分(自社)はどのような方法で貢献するのかを定義したもので、会社などの組織でいえば、価値観の共有、行動規範というものになって具現化し、特徴のある企業文化に育っていくための太い幹である。
 ミッションからスタートすれば、目先の利益に幻惑されて、本来の道筋を踏み外しそうになったとき、原点に立ち返る拠り所となる。また、多様な社会現象からビジネスチャンスを見つけ出す場合でも、ミッションに照らし合わせ、決してぶれることのない捉え方ができる。ミッション・バリュー経営もここを強調した考え方であることは言うまでもない。