製品開発といえば、自社がもっている他社に優越した技術やノウハウ、スキルを活かす「シーズ型」と消費者の要求に沿おうとする「ニーズ型」が基本であった。しかし、消費者志向が、「機能的価値」から「精神的価値」に変化してきている現代においては、作ったものを販売するという姿勢では受け入れられず、真のニーズに迫ることが求められている。
これからのヒット商品の条件は、消費者の奥底にある潜在的な欲求に迫るウオンツ対応でなければならない。すなわち、消費者がその商品やサービスを購買または利用することによって得られると期待する効用(ベネフィト)を徹底的に掘り下げて考えることが必要である。つまり、商品・製品コンセプトを設定するためにはベネフットが決め手となる。
例えば、寝具というジャンルの製品を考えてみると、従来型の製品は、「寝心地がいい」とか「肌触りがいい」といった、素材や機能面に焦点を当てた製品開発が主な取り組みであったが、人の一生のうちでもっとも長い時間を過ごす寝室を夢のある潤い空間にしようと考えたとすれば、寝具はもはや眠るときに使用する単なる「モノ的商品」ではなくなる。
そのような発想に立った場合、枕は楽しい夢を見るために必要なものと期待されれば、寝心地のいい素材や形だけにとどまらず、夢のあるデザインにすることが期待されるかもしれない。また、気持ちよく目覚めるためには、「小鳥のさえずり」を仕込んだ目覚し時計も寝具として位置づけられるかもしれない。これが消費者側から見た付加価値なのである。
こうしたペネフットを見つけるキーワードは、「安心」「安全」「快適」「癒される」「健康的」「潤い」などであるが、それに加え、消費者が「こういうものが欲しかった」というものや「こんなものがあったらいいね」と潜在的な気づきを誘うものがペネフットである。このような消費者の本音はインサイトと呼ばれ、購買意思決定の隠れた要因となっている。
例えば、アイスクリームやプリンといった商品は、純粋に食べ比べて判断するだけではなく、有名なパティシエのレシピで作ったことが、商品の付加価値を上げることができる。このように考えると、総合的に商品価値を決定するのは、中核的な機能よりもブランドやネーミング、物語性、付帯サービスといったものが付加価値であることが納得できる。
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