戦略プログラムもしくはアクションプランの設定

 戦略マップは、ビジョンと戦略を策定することに始まり、これを4つの視点から整理したものをマップに落とし込むという手順で進められる。具体的には戦略目標(KGI)の設定、重要成功要因(CSF)の洗い出し、業績評価指標(KPI)の設定、数値目標(ターゲット)の設定である。この目標を実現するための行動計画がアクションプランである。
 このようにアクションプランは、戦略マップに従って戦略目標を達成するための具体的活動を示すものであるから、各部門や個々の従業員の行動計画に落とし込まれなければならないわけであるが、実際には個人レベルのアクションとして示されていないことがある。それどころか、実際の行動は計画性が全くなく、目標のみが独り歩きしていることもある。
 つまり、戦略目標→重要成功要因→業績評価指標→ターゲット→アクションプランという流れに、全くといっていいほど整合性もストーリー性もなく、ただ、あるべき姿を数値で示し、その達成を強く要請しているに過ぎないから、バランス・スコアカードを理解していない以前に、経営理念やビジョンそのものが、単なるお題目となっている状態である。
 こうした経営体質を改めようとして取り組んだはずのバランス・スコアカードなのに、結局のところ、難解であるという理由でおざなりなものになってしまっては意味がない。一見複雑なようにも思えるが、要は、何時までにだれがどんな行動を起こすことで、戦略目標を達成することができるか考え、有効でかつ適切な実行計画を示せばよいわけである。
 例えば、現在の市場が成熟化しているため、新しい市場に進出するか、あるいは、新製品を開発し差別化戦略をとるかという岐路に立たされているとした場合、新しい市場を求めて海外展開をするという戦略を固めたとすると、進出先国をどこに設定し市場を開拓するという戦略目標を決め、その時の市場シェアはどの程度に設定するかが検討される。
 ここが固まれば、今度はそのシェア獲得は何パーセントを目標にするかというターゲットを設定し、これを達成するためにはどのようなアクションが必要であるかを考える。こうした一連の流れを4つの視点を関連させて、サクセス・ストーリーを作り上げる。ただ、これはあくまで仮説であるから、整合性を意識し過ぎて委縮しないようにすべきである。