資金運用効果を見える化

 経営計画が作成できない理由の一つは、経営者が明確な経営理念に基づいたビジョンと、これを達成するための具体的戦略を持っていないためと思われるが、その根底には、決算書を十分に読みこなせないという面も見え隠れする。もちろん、貸借対照表や損益計算書については一応把握しているが、資金の調達と運用という切り口から把握は不十分である。
 ある企業では、会計ソフトを導入しているので、月利決算については徹底して行っているが、この結果を分析して戦略の検証に役立てているかというと、残念ながら全くといっていいほど活用されていない。経営者の関心は、もっぱら売上高と仕入高、諸経費に集中し、対前年比でそれほど大きな変動がなければ、取りあえず安心するという管理である。
 このような管理体制を、自社では管理会計と呼んでいるが、財務会計ないし税務会計以外の何ものでもなく、市場や顧客の変化には殆ど無頓着に近い状態であるが、一度売上が低下すると、その原因を追求するにしても、経営計画がないので計画と実績の差異分析ができない(不十分である)から、変化に対応した新たな対策を講じることなどできない。
 結局は、営業部門に激をとばし、顧客に対する訪問回数を増やすなどといったおざなりな対策でお茶を濁すことになる。こうした成り行き的管理を重ねた結果が決算書となって報告されることになるので、抜本的な解決策を打ち出すことはできない。こうしたサイクルが回り始めると、根拠のない数値だけが、唯一の経営計画となり独り歩きし始める。
 こうなると、最早、経営計画は形だけのものになることが確定的なものになるため、誰も経営計画の策定意義を理解しようとしなくなる。こうした負の連鎖が始まる原因は、戦略がないことがおおきな要因ではあるが、それ以前に、経営の実態である資金の調達と運用のメカニズムを正しく読み解く知識が不足しいすることに原因があるように思われる。
 このメカニズムを理解してもらうために、よく用いるのがロジック・ツリーである。これは端的にいうと、調達された資金をどのように運用して、売上や利益がもたらされたかを論理的に分解し、その流れをチャートで表現するものであるが、この枠組みを正確に理解できていないのでポイントが掴めず、経営計画が立てられないのではないかと思われる。