自律とは、他人から押し付けられたり与えられたりするのではなく、自ら目標を定めて行動することである。組織運営においても、上司の命令に従うだけの受け身的行動ではなく、自律的に行動することが求められている。ただし、組織の目標と自分の目標が同じ方向を向いていなければならないから、組織と協調する自律であることは自明の理である。
このように、全体目標を達成するために組織を編成し、その組織の一員である社員は、全体目標を達成するために他の部門や部門内のメンバーとも協働する行動規範を自分の中に構築し、これを管理するというのが自己管理である。しかし、現実には自己管理とは、自己統制を意味するものであるから、自己統御がどの程度であるかは客観的には掴めない。
つまり、自己管理のレベルは個人の裁量に委ねられているわけであるから、協働に対する取組姿勢を客観的に把握することは難しい。ここにプロセス評価の難しさという問題が横たわっている。科学的な研究は進められているが、行動と結果の因果関係を十分に説明できる理論は確立されていない。そこで、成果から逆算してプロセスを推定するしかない。
行動と結果の因果関係は、十分には解明されていないとはいうものの、成果をもたらすためには、能力、気力、行動などが相乗的に作用していることは間違いない。そこに着眼して導き出したのがコンピテンシーという考え方である。これは、職務を遂行するための基本的な能力と、特に成果に結びついた能力が存在するという点に着眼した考え方である。
この考え方は、多くの経営者から支持されているところをみると、今後こうした行動科学的な研究は進むものと思われるが、経営を「見える化」することで、社員の行動パターンを把握できれば、コアとなるコンピタンスを抽出できる可能性も高まるものと思われるし、組織や上位部門の目標と自己が設定した目標が同じベクトルにあることも確認できる。
自律と協調を目に見える形のシステムに転換できれば、組織行動のムダを最小限に止めることもできる。人材育成が思うように進んでいない中小企業などでは、トップダウンの意思決定が主流になっていると思われるが、自律協調型の人材育成を目指す意味においても、まずは経営ビジョンと戦略を「見える化」することで、自律を促すことが肝要である。
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