経営理念を実践し、経営ビジョン達成を目指して組織的に行動するための枠組みが戦略である。この場合の戦略とは、仮説に基づいて策定されたものであるから、この仮説を拠り所に行動し、その結果を検証するというサイクルが回さなければならない。ということは、戦略の実施状況を現場担当者や管理者、経営者が共通の認識に立つということである。
トップダウンの意思決定であったとしても、それぞれの立場で戦略の進捗状況の認識に違いがあれば、仮説である戦略の修正や再構築の際にも意思決定のズレが生じてしまう。仮説に基づいて策定された戦略が、ビジョン達成に向けて当初の計画通りに進捗しているかどうかは、従来は、計画と実績の差異を分析するという管理手法により把握されてきた。
現代経営においても、こうした管理者法は重要な位置を占めているが、分析の結果が正確に把握されるまでに時間がかかり過ぎると、戦略の見直しのタイミングを逸してしまうこともある。そうしたことも背景にあったためと思われるが、この差異分析は、単なる分析として扱われ、新たな戦略構築のためにはあまり役立たないものと受け止められてきた。
差異分析の本来の目的は、戦略の修正や抜本的な見直しのために情報を整理することにある。しかし、実際には、計画と実績の差を計算によって明らかにする以外はほとんど活用されていないのが現状で、差異が生じた背後にはどのような問題があるのかを検証するという本来の機能が活かされていない。つまり、この程度では「見える化」とは言い難い。
経営を「見える化」するということは、結果を知らせることだけではなく、その結果がどんな営みによって生じたかが把握できなければ、仮説の検証には結びつかない。もちろん、その結果から原因をたどるという手法もあるが、改めて分析するまでものなく、戦略を展開の状況をリアルタイムで見ることができれば、仮説再構築の有力なヒントとなる。
仮説・実施・検証のサイクルを、全社員が見える状態にしておくことが情報の共有化であり、新たな意思決定に対する取組姿勢や行動規範も共有することにもなるわけで、このシステムを構築するための手法がITの活用であるが、システムを導入する前に、まず、情報をオープンにして共有することの重要性を経営層が再認識することが前提である。
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