リーダー開発のフレーム

 次代を担うリーダーを開発・育成するためには、リーダーの候補者を発掘しなければならない。そのためには、まず、現在自社で展開している事業の特性とポジション・成長段階などを明確に示すことである。そして、その事業を推進するにはどのような変革が求められるのか、新しい戦略を打ち出した場合、どのようなシナリオが描けるか分析してみる。
 複数の代替案に対応できるリーダー候補を想定してみることになるが、そこでは、市場がまだ未成熟なのか、成熟化しているのかなどによって、シェアの拡大を図るべきか、製品開発のために経営資源を配分すべきか、あるいは、新規の事業を立ち上げるべきかなどを多角的に分析し、ビジネスモデルの開発の可能性についても掘り下げて検討してみる。
 次に、ここでの分析結果を踏まえて、各事業の特性により、起業家タイプが適正なのか変革者タイプが求められているのかを判断し、それぞれ必要とされるリーダー候補と必要とされる能力のギャップを埋める体験させてみる。その上で、必要とされるリーダーの資質に最適と思われる候補を登用するというプロセスで、選抜が進められていくことになる。
 リーダー発掘までのプロセスを時間軸で見ていくと、年齢やライフステージに合わせて、候補者を登用して最終的に選別していくスタイルが一般的にとられている。具体的には、30歳代全般までは、自主的な意思を尊重し応募形式で行い、集中研修により経営基本スキルを習得させ、ビジョン構築などへ参加させ、最後にリーダー候補として選抜をする。
 このように、「発掘」→「集中研修」→「実務経験」→「選抜」というサイクルを回しながら、30歳代後半、40歳前般、40後半から50歳へとグレード上げていく。この過程で、起業家タイプか変革者タイプを色分けし、実績を上げたものは経営者層に選抜していく。当然、応募から最終的にリーダーとなるまでには、厳しい研修と実践を積むことになる。
 こうしたシステムが円滑に機能し、次代を担うリーダーに成長するかは、本人の資質によることもあるため、登用制度が充実しているだけでは十分とは言えないが、少なくとも、選抜から登用に至るまでのルールが公正なものであること、適正な評価システムにより十分なインセンティブが必要されていること、等々が必須の条件となるものと思われる。