魅力あるビジョンづくり

 経営ビジョンとは、経営目標より上位の概念で、将来像や夢とでもいうべきもの、将来の自社の到達点あるいは姿を現すものでもある。文章ばかりではなく絵やグラフなどで視覚的に解りやすく表現したものである。明確な夢を持ち、これを実現するための筋道を社員が共有している企業は、それだけビジョン実現の可能性が高いことは確かなようである。
 経営者にとってのビジョンは、5年ないし10年といった比較的長期の将来における自社のあるべき姿であり、定性的側面では、どのような会社の状態でありたいのかといったもので、定量的側面では、これを具体的数値に置き換えて表現したものである。具体的には、将来の目指すべき売上高や経常利益、企業規模、従業員数などがこれにあたるものである。
 一方、従業員側から見た経営ビジョンは、会社の目指すべき方向性、将来の会社のあり方、到達すべき目標ということになる。いずれにしても、経営ビジョンは経営目標より上位の概念であり、会社の一大目標と位置づけられている。すなわち、経営ビジョンが明確にされていることにより、その達成手段とも言うべき戦略が定まることになるわけである。
 経営ビジョンを策定するためのポイントは次のようなものである、顧客のソリューション要求に合せたもので、いわば市場性があることである。既存の製品やサービスとは異なった革新性があること、企業を取り巻くステークホルダーに明瞭な方向性を示すものであること、ステークホルダーにとって魅力的なストーリー性のあるもの、などが必須である。
 そして、当然のことながら、経営理念に裏打ちされた、創業の精神に基づいた一貫性のあるものであること、企業活動の成果として実現性があること、中長期的に一貫した継続性のある概念であることなどである。すなわち、経営ビジョンは、何を目指すべきかが明確に共有でき、社員がその実現に向けて協働できる魅力あるものでなければならない。
 つまり、経営ビジョンを明確化することにより、経営者と従業員とがビジョンを共有することになるから、事業推進力の向上と一体感の醸成が図られるため、従業員は、なぜ仕事をするのかの意味や目的が理解でき、会社の将来が見えて社内に活力が生まれる。経営ビジョンは、定性的意味において、「夢の共有化」が図ることに重点を置くべきである。