自立性の高い組織構築

 変化の激しい経営環境に柔軟に対応するには、単にITを活用するだけでは不十分である。顧客指向性が高く自立性のある組織を構築するには、これまでのようなピラミッド型組織のなかで組織図を書き換えただけでは殆ど意味がない。商品に対する顧客の価値観がソリューションへと変化している現在、プロフェッショナルでなければ対応しきれない。
 上司の命令に背くことはタブーであるとしても、イエスマン的サラリーンやベテランのスペシャリストではなく、プロフェッショナルにならなければならない。中間管理職がどんなに激をとばしても、業績の向上が望めないといった状況が、中小企業の現場でも既に顕在化しているのは、第一線で活躍できるリーダーが育っていないことによるものである。
 旧来型のピラミッドにしがみついたマネジメントでは、自立性の高い問題解決力を持ったリーダーを育成することは困難である。すなわち、プロフェッショナルや第一線のリーダーに求められる能力は問題解決力というよりも問題提起能力や問題形成能力であり、管理技術や特定分野の専門性のように、経験や研修で身につくスキルとは異なるものである。
 つまり、個人が有する思考・行動特性そのものであり、これがコンピテンシーといわれるものである。コンピテンシーはスキルとは違い、仕事を通じた試練によって強化されるものであるが、ピラミッド型の組織では育ちにくい能力である。このように、OJTなどの伝承型の人材育成スタイルでは充足することができない能力であるということである。
 自立型組織は、ミッション、ビジョン、バリューといった抽象性の高いメッセージが組織構成員全員に共有させることが重要であるため、ノルマやマニュアルに頼らない新しいメッセージを常に発するマネジメントが求められる。そのため、プロフェッショナルやリーダーに対する評価や報酬のあり方も今までとは大きく変えなければならないことになる。
 従来のジェネラリストやスペシャリストという単純化された過去の枠組みから脱する考え方に転換しないと、新しいタイプの人材像が見えてこない。当然、社員の意識や労働観にも目を向け、これまでのように社員が会社と一体化し、滅私奉公することがよしとされた主従関係ではなく、個人と組織は契約によって協働するという認識がなければならない。