その他の予測法

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 本来であれば、時系列分析法として挙げなければならないものに要因分解法と回帰分析法、重回帰分析法などがある。しかし、要因分解法については「情報分析技術」で取り上げているほか、重回帰分析についてはこれまで何度か触れてきたので、ここでは省略することにする。また、天気予報などのように確率で予測する方法にも踏み込んでこなかった。
 数え上げればきりがないほどある予測方法の中でどれを選ぶかは、経営者の裁量にゆだねられているが、自社が置かれている状況によっても選択されるべき方法が異なってくる。
繰り返しになるが、販売予測を行う目的は、経営計画を策定する拠り所として、基礎予算となる売上高をどのように捉えるかであるから、予測を怠ることは許されない。
 入学試験や入社試験をおこなうのも、ある意味で学生や新入社員の将来像を予測するためのものである。人材がどのように育つのか、あるいはどのように育てたいのかによって、その人が将来生みだすと期待される付加価値を予測することで、収益とコストの関係を予測すると考えれば、これも立派な予測であると考えて差支えないように思われる。
 予測は経営計画に限らず、我々の日常生活でも不可欠なものであるが、普段はあまり意識せず、予測と予感を混合して行動を決めている。それでも、行動が好結果に結びつくと、「予測が当たった」と自画自賛し、次回もこの方式により行動を決めるようになる。場合によっては、予測結果と符合するように行動を調整することだってあり得る。
 例えば、株価が下がり始めたので、持ち株を手放すと売り注文が増えだし、本当に株価が下がり出す。こうした現象などは、自分の予測が当たるように自ら行動していることの典型である。企業の場合も、売上が下がったので来期はあまり期待できないと判断し、リストラなどにより経費節減に走る。はたせるかな、売上が低下してしまうことになる。
 また、これとは逆に、高めの予測を実績と近づけるために、積極的に販売促進に努めた結果、予測値にかなり近い結果になったというケースある。しかし、予測はあくまでも、過去の実績と環境変化を織り込んで、将来の姿を描くものであるから、できるだけ過去の事実を客観的に捉え、予測した根拠を論理的に説明するものでなければならない。