指数平滑法

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

 時系列データから将来を予測する際に利用される代表的な分析手法として知られているのが指数平滑法である。得られた過去のデータのうち、最も新しい実績に大きなウエイトを置き、過去になるほど小さなウエイトを掛けて移動平均を算出して次期の販売予測を行うもので、算式は、次期予測=α×前期実績値+(1-α)×前期予測値である。
 この場合の係数αは平滑化係数と呼ばれ、αの値が1に近く設定されれば、最近の実績が大きく影響するようになり、変化への対応力が迅速になり、逆に0に近い数値に設定すれば、移動平均法で平均する期間を長く取ったと時と同じように最近の状況への比重が小さくなる。一般的には、この平滑係数は、0.5ないし0.3程度が適切とされている。
 すなわち、前期の実績値が予測値からどれほど外れたかを算出し、それに一定の係数αを掛けて得た修正値を前期予測値に加減して次期の予測値を導き出す。この時のポイントは、実績値は修正値の算出に使われるだけで、次期予測値のベースになるのは前期予測値であることである。つまり、特異な実績があった場合の影響を抑えるためである。
 前期の予測値と実績値があれば、次期の予測値が簡単に算出できるのが特徴であるが、前回予測値は、前々回予測値から産出されるため、連続する過去データ(予測値)の影響もわずかに残る。そして、その予測値の影響度を決定するのが係数αであるから、0<α<1の範囲で設定する。この値は、過去データのシミュレーションによって決める。
 つまり、過去の予測値と実績値の誤差を最小にする係数αを選択すれば、予測の精度は向上すると考えるわけである。この予測方法は、単純指数平滑法と呼ばれるものであるが、指数平滑法の応用編として、平滑係数を定数としないで、時系列データから変数値を取り込み、実績値の傾向を織り込んだ可変応答平滑法などもよく使われている。
 このほか、データ数が比較的少なく、指数平滑法より計算手間はかかるが、最小二乗法よりは簡単な2次指数平滑法などもある。いずれにしても、どの時系列分析予測手法にも一長一旦があり、予測の目的や予測する期間の長さによっては、他の予測手法によらなければならないが、比較的取り組みやすい方法なので、まずは活用してみるべきである。