販売部門合成法

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 陪審法は、経営者あるいは複数の管理者の裁量によって予測するものであり、デルファイ法は、有識者に数回のアンケートを行い、その都度集計結果を開示していくことで、次第に予測の落とし所が一定の方向に集約されていくという性質を利用している。これに対して、販売部門合成法は、顧客に一番近い販売部門の予測を尊重するという特徴がある。
 これら3つの予測法に共通している点は、いずれも、勘と経験を基に行うということにあるため、時系列データが完備していない場合などには、適用が簡便であることから、今なお多くの企業で用いられている。しかし、基本的には勘と経験は統計的手法を用いる場合でも必要であるし、これら3つの方法も統計的な技術と併用しながら用いられている。
 販売部門合成法は、製品別の販売管理者が各製品別売上の予測を行い、地域別責任者が検討しこれを修正する。さらにこれを支店や営業拠点の統括責任者が修正して、本部の販売責任者に提示されて最終の販売予測となる。つまり、販売部門の管理者から予測を行い、数回チェックを受けて、本部の責任者が検討・修正していくという方法がある。
 これに対して、顧客に最も近いのは、地域の営業員であるという考え方にたち、このレベルから予測をスタートさせるという方法を取ることもある。製品別の管理者から始める方法は、販売管理者積上法などと呼ばれるが、第一線の営業員から始める方法は、草の根法と呼ばれる。予算の組み立てを考えると、これらの方法は比較的馴染みやすい面もある。
 すなわち、販売部門が直接予測に携わることにより、これを達成するための予算措置と連動させた予算が組まれる可能性が高いから、予算編成方針を各部門に示達する場合にも、ある程度納得のいくものが提示される可能性が高いし、何よりも、現場の意見が反映されているという参加意識が、予算達成に向けての強い動機づけ要因となるからである。
 その他、販売部部門合成法を補完する手法として、利用者見込み調査法と呼ばれる方法も駆使されることがある。この方法は、顧客の潜在的需要を把握するためのマーケティング調査という意味では有意義な方法であるが、次年度の販売を予測するという目的にはそぐわない面もある。ここではやはり販売員の勘と経験が予測のための最大の武器である。