シナリオ法

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 シナリオ法は、技術革新の進展に伴い人々の暮らしぶりはどのように変化するかといったテーマで、いくつかの場合分けをしたシナリオを作ることなどに利用される。したがって、この場合のシナリオは、前提となる条件の変化によって異なった結果を予測するという特徴があるため、経営計画を策定する前提条件と連動して結果が変化することになる。
 シナリオ法を経営計画に適応すると、コンティジェンシープラン(不測事象対応計画)と似たようなものになるが、全く同じものではない。つまり、シナリオ法は、ある前提が予想と異なった場合、予め準備しておいた計画案を適用するというもので、複数の代替案を予備的に計画しておき、変化に柔軟に対応しようとする計画をつくることである。
 この考え方を販売予測に適用したのが販売予測のシナリオ法である。シナリオ法は、管理者に対して、売上に影響のある要因を多面的に捉えて予測をし、経営計画の策定に幅を与えるものであるから、売上を予測する前提条件や仮定を明確に示さなければならないが、どのシナリオ(販売予測)を採用するかは管理者が自ら判断して決定する。
 このように、シナリオ法では、可能な状況を幾つかのシナリオにまとめて、複数の販売予測を提供するかが予測を行うに当たっての課題となる。具体的には、「どのような環境状況を前提とするか」、そして「その環境の下でどのようなシナリオにまとめるか」である。前者の要因の選択は、実行に当たる専門家(販売予測者)の判断によって行われる。
 例えば、例年よりも販売員を増強し、市場のカバー率を増やす。あるいは、展示会を開催する時期や地域、回数など売上高に影響する重要な要素は何かを考え、その影響を感度分析などにより測定し、これを販売予測に反映させるというようなことも考えられるし、あるいは、景気の動向や競合企業の新製品開発の動向などを織り込むなどもあり得る。
 取り上げられた環境条件の下でシナリオを作るには、当然のことながら対象とする顧客増や市場規模の設定、製品企画や販売価格にも配慮しなければならないから、予測の幅もかなり大きく振れることになる。しかし、この場合はシナリオ計画そのものではなく、あくまでも販売予測であるから、できるだけシステム的に行うルールが必要となる。