デルファイ法

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 デルファイ法は、「人類は何年ごろに月に到達できるか」とか「原子力発電に依存しない電力供給が実現するには何年かかるか」といった主に科学技術の進歩について専門家の意見を取りまとめる時などに用いられる方法である。これを販売予測に応用するためには、どのようなパネリストを人選するか、適用の手順をどう設計するかなど工夫が必要である。
 科学技術の予測と違って、販売予測の場合は社内の有識者に限定されるので、どのような見識の持ち主を選ぶかが問題であるが、この点については陪審法の場合とまったく同じ条件なので、ここでは敢えて触れないことにするが、あまり大勢によると集計に手間取るため、通常は数名で行うのが普通であるが、コーディネーターの手腕によっても異なる。
 適用に当たっては、まず、最初にこの予測を行う趣旨を十分にパネリストに説明し、理解してもらうことが必要である。社内的な販売予測とはいえ、固定観念にとらわれず、幅広い知識と経験をもった人物が望ましいのは当然のことであるが、質問票の作成によっても、意見が左右されることもあるので、与件の与え方にも配慮しなければならない。
 これらの準備が整えば、まず、第一段階の質問票によってパネリストの予測を訪ねることになる。そして、回収された質問票を集計して、大きい順(小さい順)に並べ、これを4つのグルプに分類する。このうち、下4分位値(最小グループ)、中位値、上分位値とする。こうした整理が終了したらこの結果をパネリストにしらせ、第二段階目の調査をする。
 これを、4段階まで行うことにより、パネリスト達は、他のパネリストがどう予測しているかが次第に明らかになってくるため、第一段階のバラツキに比べ、明らかにある方向に向かって終息する傾向を示す。もちろん、誰が何と言おうと自説を曲げない豪のものもいるかもしれないが、野球のホームベースのような形に集約されていくことになる。
 このようにすることにより、陪審法のような議論を直接闘わせなくとも、他のパネリストの意見も尊重しながら、お互いに自分の予測を修正していく形になり、結論がゆがめられる弊害を防止することができるが、反面、パネリスト同士のコンセンサスが十分に得られないのではという疑問も残ることは確かであるし、手間暇もかかるという欠点もある。