陪審法による予測のまとめ方

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

 陪審法による販売予測をどのような形にまとめるかは結構厄介な問題である。こうしたことをはじめから想定して、予めルールを作っておけば、ある程度はそのルールに則って作業が進められるので、大きな混乱は起こらないかもしれない。この場合のルールとしては、単純平均法、加重平均法、グループ討論によって結果をまとめる方法などがある。
 単純平均法は、メンバーの予測結果を単純に合計して算術平均を出し、これを陪審員の予測結果とするという極めてシンプルな方法である。また、加重平均法は、予め事前に、予測者の信頼度を過去の実績などから評価して設定しておき、このもち点により加重平均するというものである。事前に設定しておくことである程度納得が得られやすい。
 これに対して、グループ討議により予測結果をまとめさせる方法は、意見が一致するまで議論する方法やある程度議論した後、メンバーの中の調整役に最終結論を委ねるといった方法もある。いずれにしても、議論による方法はまとめ方によっては、意見の偏りがしこりとなってしまう虞もあることから、慎重に行わないと無責任な結論になり兼ねない。
 販売予測というからには、自社の製品が来期はいくら売れるだろうかということをテーマとしているわけであるから、「どれくらい売れるか」という視点だけではなく、「どれくらい買ってもらえるか」という顧客分析が大事である。ということは、時系列データの解析だけではなく、政治や景気動向、技術革新、国際情勢などにも気配りする必要がある。
 このように考えると、単一の予測を積み上げていくだけでは、市場環境の変化を読み違える虞もあるため、各部門から重要と思われる資料を提出させ、できれば回帰分析などによる客観的なデータをメンバーに認識させておくことも有効である。こうした考え方は、予測モデルの開発が進むにつれ、徐々に充実してきているのでぜひ取り入れたい。
 陪審法の欠点の一つである、「予測のプロセスが検証できないため、予測の精度を高めるための改善策が打ち出しにくい」という特徴を踏まえ、これを補う科学的な方法を整備していくことが予測結果に対する信頼度高める要因となる。予測結果は計画に反映され、計画は実績に大きく影響することもあるとすれば、予測することの意味は半減する。