勘と経験による予測の最大の利点は、予測者の能力が高ければ結果的にも納得がいく予測ができる点にある。しかし、予測者のカリスマ性に依存しているため、論理的に予測のプロセスや情報の読み込みが明らかにされない場合が多いという重大な欠点もある。この長所を生かし欠点を克服できれば、科学的方法を検証する意味でも威力を発揮する。
勘と経験による予測をシステム化することのメリットは、予測の手順を確立しておくことにより、予測者の偏見やいわゆる山カンが押さえられるため、より論理的で体系的に検討できるようになることである。そうすることで、経験豊かな予測者のノウハウをある程度学習することもできるし、何よりも客観性が増すことが期待できるようになる。
経営トップが予測者となっている場合、どうしても予測と実績の誤差を検証しようとする対応が不十分になり、予測方式の検証ができないため、適切な改善策を講じることができない。勘と経験による予測を採用しているということは、正確な予測モデルが開発されていないということであるから、何時までも全面的に頼り過ぎるのは好ましくない。
勘と経験による方式を実践しながらも、過去の予測誤差を検証したり、統計資料を充実させるなどの措置を講じていくことで、予測の精度を高めていくという取り組みがなければ、予測誤差が生じた原因も明らかにされないばかりか、個人の恣意的な見解が何時までもまかり通り、予測に必要な情報を収集する仕組みも確立されないことになる。
こうした慣習が積み重なり、勘と経験による方法が未だに幅を利かせている企業も多く存在しているが、そうした企業は、予測そのものをあまり必要と感じていないという傾向も見られる。場合によっては、予測を軽視しているというよりも、予測することを恐れているような感じさえすることもあるなど、中々予測すること自体が受け入れられていない。
予測の手順をマニュアル化しておくことにより、予測に必要な前提を明らかにするというルールも確立されてくるので、このマニュアルに沿って予測した結果生じた実績との誤差もその前提に沿って検証できる。こうした経験が蓄積していくことにより、勘も研ぎ澄まされる一方、経験は予測方式の改善に役立つことは誰もが認めるところである。
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