勘と経験による方法の体系

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 勘と経験による予測方法には、経営者が直接予測するか、あるいは役員会の構成メンバーによって予測し総合的に調整するという方法を取る。総合のしかたとしては算術平均による場合とグループに討議させる場合に分けられるが、グループ討議の場合は、グループの意見を重視して予測結果とすることが多いようである。これがいわゆる陪審法である。
 一方、経営者が直接予測するのではなく、現場の情報をよく知っている販売部門に予測を委譲し、これを受けて販売部門は、製品別や顧客別、地域別など個別に予測を積み上げていくという草の根法を取ることもある。これとはやや独立的な方法として位置づけられるのが、討議によらないデルファイ法と複数の予備計画を検討するシナリオ法である。
 勘と経験による方法は、十分に整理された時系列情報やこれを用いた予測モデルが開発されていない場合には、よく活用される便利な問題解決法であるが、場合によっては恣意的で、予測結果が導き出された根拠に乏しいことや予測のプロセスも明確にされないという弱点もある。そのため、方法の改善策を打ち出すことも難しいということになる。
 それにもまして危ういのは、管理者の立場や利害によって、予測結果をコントロールすることが懸念されることである。例えば、設備投資を強引に実施した役員は、その設備を稼働させることによって生産される製品の売れ行きが気になり、次年度以降も売上が無理やり延びるという予測をしなければならないと考えている場合などがそれである。
 つまり、陪審法や草の根法では、影響力のある特定の役員によって、予測値が大幅にゆがめられてしまえば、経営資源の配分も誤ってしまうことにもなり兼ねないし、従業員のモラル低下にもつながってしまう。したがって、勘と経験によるこうした欠点を十分踏まえた上で、予測した根拠をできるだけ説明する責任も果たさなければならない。
 今後の対応としては、勘と経験による方法を改善することはもちろん、これに頼らざるを得ない状況から抜け出すための方策を考えるとともに、できるだけきめ細かに時系列データを収集・蓄積するシステムを作ることである。そうした取り組みをする一方で、勘と経験を生かすという予測方法を用いれば、まだまだ活用できる価値は残されている。