情報の信頼性を分類

 経営に関する意思決定に限らず、われわれが何らかの意思決定をする場合、確実な情報に基づいて決定する場合は、それによって生じる結果もある程度予測できるので、あまり後悔しないで済むことになる。しかし、それは期待値が高いことを根拠にして意思決定をしたに過ぎず、かならずしも、最も望ましい結果が生じることを保証するものではない。
 期待値とは、予想される結果と発生確率を掛けあわせたものの総和であるから、期待値が高く算出されれば、それだけ望まして結果が期待されることは間違いないが、現実は、予想される結果をどのように見積もるかによって計算根拠も異なるし、発生確率の範囲にも幅があるので、結果を確実にコントロールすることはほぼ不可能に近い。
 しかし、そうした現実に日々直面しながらも、結果を裏づける情報を求めて奔走しているのは、それなりの理由があるという現実に目を背けるわけにはいかない。そうだとすれば、やはり確度の高い情報を組み合わせて、期待値の高い(リスクの低い)意思決定を目指すしかない。つまり、情報の収集と分析が死命を決めるといっても過言ではない。
 それでは、どんな情報で同じレベルで扱えるかといえばそうではなく、情報の入手先やカテゴリーによってその信頼性は異なるので、これをいくつかのレベルに分類して、ある種のデータベース化をしておくことが、迅速な意思決定のために役立つはずである。優れた経営者の最大の特徴は、情報のデータベースが整備されている人であるように思われる。
 さて、その肝心な情報とは、どのようなレベルに分けられるかというと、確実性の高い順序でいえば、疑う余地のない事実が第一番に上げられる。これはある意味で科学的根拠よりも優先される。何故ならば、事実として一度インプットされた情報ほど頼りになるものはないという心理は、誰しも捨てがたいという経験則は最大の根拠になるからである。
 次に重要視されるのは、科学的な根拠のある法則や定理、あるいは、実験などによりほぼ証明されている経験則などであろう。これに次ぐものとして、法則や経験則などからの推定である。また、権威ある意見もある程度信頼性が高いので参考にされることもある。そして、レベルとして高くはないが、想像なども仮説の構築(意思決定)には役立つ。